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ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

千冊の本も一冊から。「本の運命 (文春文庫)」  

本の運命 (文春文庫)
井上 ひさし



こうやって、本が人の手から手へと渡っていくと、おもしろいことが起こりますね。本もそのたびに新しい読者を迎えて、生き返る。ですから、いい本と言うのは寿命がとっても長い。繰り返し繰り返し、集められたり、散ったりしながら、そのたびにその人の文脈の中に組み込まれていく。 (p125)


何だか肌に合わない感じがして、井上ひさし氏の作品は読んだことも観た事もない(筈)。
ただ先日、「蔵書の苦しみ (知恵の森文庫 t お 10-3)(レビューはこちら)」において、
井上ひさし氏がある日、積み上げた本たらけの部屋に紙袋一つの本を置いたら、ついに床が抜けたというエピソードが紹介されていて、その出典を読んで見たいと思い入手したのが、本書。

いくつか話しの軸があって、
①本との出会い、蔵書遍歴など、本を中心とした井上ひさし氏の人生。
②井上ひさし氏流の本の読み方、買い方。
③図書館、読書教育に対する所感
に関する各章が、入り混じりながら展開する。

一見無関係のように見えるけれども、
井上ひさし氏の蔵書は約13万冊。
これほどの蔵書家になった理由は、やはり①の人生史が関与する。
そして、それを購入し、読む方法が②。
そして、この蔵書を元に、郷土に図書館をつくってしまうのだが、
なぜ図書館か、どういう図書館か―というので、③が関係する。
(その図書館は、劇場と川西町立図書館を併設した複合文化施設「川西町フレンドリープラザ」)

井上氏は、本を入手したらまず喫茶店に持って行き、
そこで目次を見たり、カバーが外れないよう糊付けしたり、栞を加えたりと、
「読む準備」を行う。
そして読む時は、赤線を引きながら―というもの。
本を「自分のもの」とするには、確かに良い方法だろう。

ただ、本の扱い方というのは人それぞれで、正解などない。
僕は本は商品、天下の回りものを一時預かっているという感覚が有るので、
古本であっても購入したらまずカバー・帯を外して別に保管。
ビニールのブックカバーを付けて読み、
書き込みや折り込みは一切せず、小さい付箋をどんどんつける。
で、その箇所をレビュー時に読み返したら、再びカバー等を付けて保管。
ある程度の冊数が溜まったら売却、というシステム。真逆である。

だから、自分に見合った付き合い方をするのが、良い。

ただ本書にある、井上氏や司馬遼太郎氏がやっていたような「関連書一気買い」は、
財力さえあるのなら、万人にお薦めしたい方法。
本は、一冊だけ読んでもダメなのだ。

「言葉」に定評のある井上ひさし氏の本だけあって、
飄々とした文体乍ら、
躓くことなく楽しく読むことができる一冊。
まるで井上氏が目の前で語ってくれるような本であり、
僕のように井上氏の著作を読んでいない方も、きっと楽しめるだろう。

最後に、井上氏の読み方の十箇条を転記しておく。
詳しい方法や思想については、本書を読んでいただきたい。

一 オッと思ったら赤鉛筆
二 索引は自分で作る
三 本は手が記憶する
四 本はゆっくり読むと、速く読める
五 目次を睨むべし
六 大事な事典はバラバラにしよう
七 栞は一本とは限らない
八 個人全集をまとめ読み
九 ツンドクにも効用がある
十 戯曲は配役をして読む

ああそうそう、読書感想文は百害あって一利なし、
むしろ読んだ本の要約を書かせる方が良いこと、
「何が見えるか」という、自分が観察したことをそのまま文章で表す練習こそ必要と言うのが
井上氏の意見だか、全く同感である。

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category: 読書

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