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ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

最後の瞬間の事実を、読む。「墜落!の瞬間―ボイスレコーダーが語る真実」  

墜落!の瞬間―ボイスレコーダーが語る真実
マルコム マクファーソン



機長「落ちる! 落ちる!」

テープ終了
 (p134)


藤田哲也により1976年(昭和51年)にダウンバーストが確認され、1979年(昭和54年)にはドップラー・レーダーによる予測も可能になり(詳細は「Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男」に詳しい。レビューはこちら)、
世界的には航空路線はどんどん増加する一方で、空の旅は極めて安全になっている。

それでも「飛行機は怖い」という印象が、多くの方にある。
それは、飛行機に乗ることが、未だ多くの方にとって「非日常」であるからだろう。
非日常時に体験したことは、他の記憶とは全く別レベルのウエイトをもって記憶される。

単純に、日々のうちの「雨の日」なんて覚えてもいないが、
旅行に行った時の「雨の日」は強烈に記憶するものだ。

そして飛行機事故は大きく、長期間にわたって繰り返し報道されることが多いため、記憶に刻み込まれやすい。

もちろん被害からして大きく報道されるのは当然だが、
なぜ「長期間にわたって繰り返し」報道されるのか?

それは飛行機事故は、以降の安全に資するためにも、
第三者による事後検証が確実に行われ、その結果が公表されるためだ。

その鍵となるのが、いわゆるブラックボックス。
フライトデータレコーダー (FDR) とコックピットボイスレコーダー (CVR)で構成されるブラックボックスによって、
我々事故機の墜落直前の状況を確認することが可能になっている。

考えてみれば、ブラックボックスは、事故発生時には、その機体の状況改善には全く役立たない。
こうした事故予防や回復ではなく、事故を記録することだけを目的とするドライなシステムは、
確認はしていないが、たぶん発祥は日本ではないだろう。

そして本書は、そのブラックボックスに刻まれた、28の飛行機墜落事故の記録である。
収録されているのは、墜落直前のコックピットボイスレコーダーの書き起こし。
各章冒頭に発生直前の状況がほんの少し説明されるのみで、
大半はボイスレコーダーそのものである。

機内での談笑、いつもの軽口から始まったり、
ふとした違和感から始まる場合もある。

だが様々な理由により機体はコントロールを失い、機長らはそれと闘う。
事故発生時に、もちろん原因が分かっていることは無い。
だが本書を読むと、殆どの場合、適切な状況把握すらできていないという事実に直面する。

機長らの誤解が原因の場合もあれば、
地上作業員がミスしたり、積み荷が爆発するなど、不運としか言いようがないケースもある。

不時着に成功したケースもあれば、悲劇的な結果に終わったケースもあるが、
何が起こっているのかわからない中、機体を安定させ、着陸させようと努力する機長らの声は、
読み進めることを時折りつらくもさせ、勇気づけてもくれる。

墜落事故のボイスレコーダ記録集など、或る意味悪趣味とも感じられるが、
こうして記録に残り、公表されるシステムが在るという事実こそ、
航空界が安全を追究している現れであり、
我々が機長と航空界を信頼するよすがとなるのではないだろうか。

なお本書には、日航123便と、スペースシャトルのチャレンジャー事故の記録も収録されている。
日航123便には関心があり、関係書を読んでいるのだが、その件についてはまた。

また、著者には「墜落!からの生還―生存者が語る航空機事故の真実 (ヴィレッジブックス)」という本もある。こちらも購入済み、いずれ読む予定。





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category: 事件・事故

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