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ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

怪魚を求めて世界の果てまで。「世界怪魚釣行記」  

世界怪魚釣行記
武石 憲貴



様々な趣味には、「旅」を内包しているものがある。
特に登山や釣り、鳥見や昆虫採集など、趣味の対象物が自然そのものや生物であった時、
そこに嵌ってしまった人々は、
その趣味を全うするためには、通常の苦労を厭わない。
普通の旅では目標としないような僻地が、旅の目的地となる。

振り返ってみれば、僕も鳥のために毎年末年始に九州を彷徨っていた時期があるし、
石川県舳倉島や与那国島など、鳥のために訪れた離島もある。
(与那国は新婚旅行の一環だったが、そもそも新婚旅行の目的が鳥見だった。)

ただ壁であっても、その趣味の目的地としては極めてメジャーな地もある。
鳥屋にとっての舳倉島がそうだろうが、
そうした地は当該趣味においては先進地であるので、情報面でも生活面でも、さほど苦労は無い。

問題は、自身がパイオニアである場合だ。
その時は、当該趣味を行うまでの過程も全て試行錯誤の連続であり、目的が全うされる保証はどこにもない。
それはすなわち、冒険なのだ。

開高健の「オーパ! 」を初めとした釣行記が、
一般人を惹きつけてやまないのは、そこに冒険があるからだろう。

そして本書は、「オーパ! 」から数世代を経て生じた、
おそらく正統的にその遺志を継ぐ釣行記である。

ただし、文学的な意味で、というのではない(失礼ながら)。
それは、まだ見ぬ世界で、まだ見ぬ大魚を夢見ながら、五感を駆使しながら旅するという点にある。

本書著者の武石氏は、怪魚ハンターと自称するように、
とにかく怪しい魚、巨大な魚を目的とした釣り屋である。
(著者ホームページ:怪魚ハンターが行く!(武石憲貴 Blog) )

既に釣行記も何冊が刊行されているようだが、
本書はその内でも初期に該当するものだろう。

とはいえ、本書の舞台はパプアニューギニア、アフリカ、
東南アジア、モンゴル、アマゾンと世界各地にわたる。

それらの地に基本的に単身乗り込み、現地の人々と共に奥地・僻地へ突撃し、
憧れの魚を釣るのが、本書の旅だ。

気取った旅ではなく、むしろ等身大の日常が繰り広げられ、
よくまあ生きているもんだと驚くエピソードも多々ある。

いわば、「オーパ! 」の世界で繰り広げられる、
一人「わしらは怪しい探険隊 (角川文庫)」である。

全ページカラー、怪魚の写真も多々あるが、
むしろ世界各地の風景と人々の写真を眺めるだけでも楽しい。

釣りそのものに興味がなくても、
辺境好き、アウトドア好き、変な旅好きであれば、十分満足できる一冊である。

ファッション的な「キャンプ」ではなく、
ワイルドな意味での「アウトドア志向」の知人が骨折入院でもしたら、
まずは本書を見舞いの品として持って行くことを勧める。
自由に動けない日常に対する鬱憤が増し、リハビリに邁進すること間違いなしである。



【目次】
第1章 パプアニューギニア編―湿原の闘神バラマンディ
第2章 アフリカ編―砂漠の巨神兵ナイルパーチ
第3章 東南アジア編―濁川の大魔神プラークラベーン
第4章 モンゴル編―大地の裂け目の鬼タイメン
第5章 アマゾン編―釣り人の聖地へ







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