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ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

人類にとって、文明化とは何か。「辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦」  

辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦
高野 秀行,清水 克行



幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)」(レビューはこちら)を初めとする探検家・ノンフィクション作家の高野氏と、「耳鼻削ぎの日本史 (歴史新書y)」(未読)など、日本中世史を専門とする清水氏。
一見共通点はなさそうだが、「近代文明以前の世界を明らかにする」というスタンスにおいて一致する。
その媒介として選ばれたのが、8冊の本。タイトルのような怪書ではないが、
かといってノンフィクション・歴史書好きでも、なかなか手にとらない本たちではないだろうか。

これらを実際に読み、互いの経験と知識に照らしながら、書かれた世界を拡げていく。
読み手のバックボーンに左右されるが、うまく行けば、
こうした複数の「読み合い」からは、上質な化学変化が生まれることがある。
本書は、その成功例といって良いだろう。

取り上げられた本を見ると、
辺境の人々を取り上げたのものが2冊(「ゾミア―― 脱国家の世界史」、「ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観」)、

日本史研究に関するものが3冊、
世界史のなかの戦国日本 (ちくま学芸文庫)」、「旧石器・縄文・弥生・古墳時代 列島創世記 (全集 日本の歴史 1)
日本語スタンダードの歴史――ミヤコ言葉から言文一致まで

実際の史料、またはそれをベースにした小説が3冊である。
ギケイキ: 千年の流転 (河出文庫 ま 17-3)
将門記
大旅行記〈1〉 (東洋文庫)

これらを通して、2人は文字や近代的経済が無い時代や生活の在り方、
そうした世界に生きる人々や、そうした世界を選んだ人々、
そしてそこから近代にいたる道等を語り合う。

それはいわば、書物の上で辺境を旅し、それをルポするようなスタンスだ。

さらりと書かれた様々なトピックについても、
文明と原始社会の邂逅や、文明化に至る道のターニングポイントが示されており、
他書を読んだり、日本史・人類史を考える際にも役立つだろう。

例えば宣教師の布教手段として、その地の言語を調べあげ、
その地の言語をアルファベット表記できるようにし、まず聖書を翻訳する、という戦略。
日本における「日葡辞書」について、宣教師の言語学習の手掛かりのためと理解していたが、
こうした戦略を知れば、その言語学習も聖書翻訳という大目的のため、と知ることが出来る。

掲載された書をすべて読んでおけばより楽しめるだろうが、
読んでいなくとも、
二人の会話はその書に触発されて縦横無尽に拡がっている。
それを読む楽しみが、本書にはある。

その上で、自身の趣味嗜好とあわせて、
取り上げられている書や、その関連書を手にとっていけばよいだろう。

なお本書には前身として、
世界の辺境とハードボイルド室町時代」(未読)がある。
とりあえず、こちらも読んで見たいものだ。

【目次】
第1章 『ゾミア』―文明は誰のもの!?
第2章 『世界史のなかの戦国日本』―世界に開かれていた日本の辺境
第3章 『大旅行記』全八巻―イブン・バットゥータ三〇年の旅の壮大にして詳細な記録
第4章 『将門記』―天皇を名乗った反逆者のノンフィクション
第5章 『ギケイキ』―正義も悪もない時代のロードムービー的作品
第6章 『ピダハン』―あらゆる常識を超越する少数民族
第7章 『列島創世記』―無文字時代の「凝り」
第8章 『日本語スタンダードの歴史』―標準語は室町の昔から



















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