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ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

進化の痕跡は、目の前にある。「「退化」の進化学―ヒトにのこる進化の足跡 (ブルーバックス) 」  

「退化」の進化学―ヒトにのこる進化の足跡 (ブルーバックス)
犬塚 則久



発生や進化の過程で退行的変化をとげて形や機能が縮小したものを「退化器官」、機能しなくなったがかろうじてのこっているものを「痕跡器官」という。

「退化」は器官が小さくなったり、数が減ったり、形が単純化したりすることだが、決して進化の逆ではない。むしろ進化にともなっておこるので、退化は進化の一部だといってもよい。

自分の体の形、感じ方、考え方こそがスタンダードであると思いがちである。
しかし、もちろん人種、体の形や機能、身体的な性・精神的な性など、
様々な面において多様性が在る。
むしろスタンダードなんかないといって良いくらいで、
人類史は一面、そうした多様性の認識・受容史であると言ってもよいだろう。

さてこのうち、特に身体的な多様性(一部に精神面に及ぶものもあるけれど)については、
その原因が「人類の進化」に辿れるものも、少なくない。

歯の「親知らず」、犬歯、腕の長掌筋の腱の有無。
人によってその有無や程度は異なるが、
これらの差異も全て、人類に進化する過程で生じた退化的変化である。

本書では、概論的な第1章から始まり、以降各章において、
様々な進化のタイミングごとに生じた退化器官・痕跡器官を紹介する。

例えば第2章では、4億年前の動物の陸上進出による退化器官。魚類との比較が主だ。
次に、第3章では2億年前、動物のうち哺乳類たるための退化器官。
以降、第4章 7000万年前のサル、
第5章の3000万年前の類人猿、
第6章の700万年前の陸上の二足歩行、
そして第7章の250万年前から「ヒト」に進化したときと、
それぞれのタイミングにおける進化の過程、何が退化したかということが細かく紹介される。

こうした視点からの研究を比較解剖学というが、
その観点からの本は意外に少なく、本書のような新書で、平易かつ包括的に説明してくれるのは嬉しい。
図も多く、
おそらく本書を読めば、
誰でも自分の腕や耳、眼や歯など、とりあえず表面的に分かる部位をチェックして、
自分の変異具合を確認してしまうだろう。

【目次】
第1章 「退化」の進化学
第2章 上陸して――4億年前から
第3章 哺乳類から――2億年前から
第4章 サルとなって――7000万年前から
第5章 類人猿より――3000万年前から
第6章 木からおりて――700万年前から
第7章 ヒトになる――250万年前から
第8章 男と女のはざま――誕生前から
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category: 進化論

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