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ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

オスとメスが在る、理由。「オスとメス=性の不思議 (講談社現代新書)」  

オスとメス=性の不思議 (講談社現代新書)
長谷川 真理子



野鳥観察を案内している時に、
オスの方が派手で囀り、メスが地味という話をすることが多い。
その際、
一般的には「オスが争う」というパターンが多いため、
メスを獲得するための競争手段として、オスは派手になる。
一方メスは、抱卵・産卵時に目立つわけにはいけないので地味なのが多い、と大雑把に説明している。

だが、なぜ話はもっと複雑だ。
なぜ「オスが争う」ことが多いのだろうか。

またそもそも、なぜオスとメスがあるのだろうか。

こうした疑問について、ゼロから説明してくれるのが本書である。

オスがある理由として、遺伝子をシャッフルするためだというのはよく耳にする。
だが一歩進んで、なぜオスが争うのが多いのかとなると、すっきり説明している本は少ない。

これは雌雄によって繁殖に要するための時間とエネルギー、
すなわち雌雄の「潜在的繁殖速度」の差や、
雌雄の配偶努力と子育て努力の差異が影響しているのだが、
これについて様々な事例を踏まえて平易に解説してくれるのが本書である。

そして、この「潜在的繁殖速度」や配偶努力と子育て努力については、
各種ごとに、その生態や生息環境によって大きく異なる。
実はその違いが、鳥類における一夫一妻・一夫多妻・乱婚・ヘルパー等々の、
様々な婚姻関係の存在に繋がっていく。

そうした世界を理解する入門書として、刊行からやや年月は経過しているものの、
本書はかなり有用である。

また本書では10章以降、それまでの生物界のオス・メスに対する知見を踏まえ乍ら、
人間の男女の差異と意味について考察していく。
若干素直な生物学から離れるが、
著者が示す、人間には通常のオス・メスに対する知見は単純に当てはめられず、
「文化」が遺伝子シャッフルの役割を担っているという指摘は、卓見だろう。
この最終章に至るだけでも、本書を読む価値は有るというものだ。


【目次】
●性はなぜ誕生したか
●バクテリアのセックス
●なぜ雄と雌しかいないのか
●生き物たちの奇妙な性
●雄なしで子どもをつくる方法
●雄の性的魅力
●なぜ雌どうしは闘わないのか
●他の雄を近づかせないために
●雌はどんな雄を選ぶのか
●雌雄から男女へ
●男はもともと浮気?
●どんな社会、どんな男女関係を築くべきか
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category: 進化論

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