ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

カエル―水辺の隣人 (中公新書)  

カエル―水辺の隣人
松井 正文
【基礎知識充実度】★★★☆


カエル―水辺の隣人 (中公新書)カエル―水辺の隣人 (中公新書)
(2002/06)
松井 正文

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再読である。

2002年刊行なので、僕としては新しいと思っていたが、
もう10年前の本である。ベーシックな内容なので古くなることは無いが、
分類や研究については、現在はもっと進んでいると思われる。
この前、佐渡島で新種のカエルも発見されたしね。

本書では、カエルの進化史から始まり、
日本産カエル各種について紹介される。
筆者が分類屋さんであるためか、分類的観点からの話が多い。そちらが好きな方には特にお勧めである。
カエルに関する詳細な類書はあまりないと思うので、入門編として読むのには良いだろう。
(そういや文一総合出版が原寸大図鑑を作っていたが、一度見てみたいものである。)

僕としては、アマガエル色素異常のメカニズムについて、具体的に知ることができたのが収穫である。

なおカエルツボカビについては、本書末尾で少し触れられている。
現状を踏まえて、続編を期待したい。


【目次】
Ⅰ カエルは両生類
両生類と他の脊椎動物の関係
両生類の特徴
両生類の起源と進化
現生両生類の三グループ
いろいろなカエル
変わった体形の両生類
鳴くのが好きな両生類

Ⅱ 日本のカエルたち
日本のカエル相
本土のカエル
琉球のカエル
日本のカエルの分類研究の将来

Ⅲ 世界の変わったカエルたち
すみか
かたち
繁殖
悪食なカエル
役に立つカエル

Ⅳ 消えていくカエル
カエルの特性と環境指標としての有用性
世界各地でのカエル個体群の減少
日本の実態
カエル現象の原因
カエルを消してしまわないために

【メモ】
P25-26
サンショウウオ 48.5種数/科、6.8種数/属
アシナシイモリ 27.5種数/科、5.0種数/属
カエル 182.5種数/科、13.0種数/属

カエルに極端な多様性が生じた原因
・温度や湿度など、様々な物理的勾配をもった環境に進出
・カエルだけが鳴き声という情報によって繁殖前隔離する など


P32
カエルの進化
まず頭部が変形し、あとでジャンプ運動と直接関係する胴体や手足の変形が起こったと考えられる

なぜ、カエルは卵から生まれたときからカエルの形ではなく、オタマジャクシなのか
この問題は解き明かされていない


P33
カエルの舌
付け根が下顎の先端近く、口の中で舌は後ろ向き
エサを食べるときは反転して飛び出す

P34
カエルの鳴き方
空気が、鳴嚢と肺の間を何度もすばやく行き来する

カエルの鳴き声
ラブ・コール:広告音
・雌雄両性が出会う確率を増やす
・近くの雄に知らせ、距離を保たせる
その他:縄張り音、遭遇音など

P40
日本

両生類:世界の4.8%の種
カエル:世界の0.8%の種
しかし、日本産カエル42種のうち、30種(71.4%)は固有種
※このまえ、佐渡で新種のカエルが見つかった

P51
ヒキガエル
・自分の生まれた池までの臭いを覚えているらしい
・長命 36年の記録 野外では8歳くらいが最高

P52
生物において、見分けがつかなく、複数の種が一つの種とされていることがある。
=隠蔽種
筆者の発見したナガレヒキガエルも隠蔽種だった

P62
ナガレヒキガエル
卵の動物極は薄い褐色:温度の過度な上昇を防ぐためと思われる


P61
アマガエルの色
色素細胞:皮膚の内側の真皮にある
外側:黄色細胞-虹色細胞-黒色細胞:内側

木の葉
 黄色細胞の色素が広がり、虹色細胞で反射(青色)。これが黄色細胞を通過するため、緑色に見える
地上など
 黄色細胞も虹色細胞も色素が広がり、黒色細胞に到達

青色のアマガエル
 何らかの原因で黄色細胞がないもの
金色アマガエル
 何らかの原因で黒色細胞がないもの
アルビノ、劣性遺伝子による突然変異

P63
染色体 カエルは通常26本
26本
 ニホンアカガエル、ツシマアカガエル、リュウキュウアカガエル、タゴガエル、ナガレタゴガエル
24本
 エゾアカガエル、ヤマアカガエル、チョウセンヤマアカガエル

P78
ツチガエル 腹まで汚れた灰色
ヌマガエル 腹は白い
ツチガエルはいやな臭いの毒性のある粘液を出す、他のカエルと一緒に入れると他のカエルが死ぬ

P82
モリアオガエル
四国や九州の記録は疑わしく、何度行っても見つけられない

P90
ミヤコヒキガエル もとは宮古島だけに生息
屋久島と台湾の間で、なぜここにしかいないのか謎
化石も出たので、移入種ではない

P94
イシカワガエル
近縁種は中国・台湾にいない
なぜ沖縄と奄美だけに分布しているか謎

P167
オレンジヒキガエル
オーストラリア・ブリスベーンから北に160kmの森林で1973年発見
当初は1晩に100匹近く見つけられたが、1979年以降は発見されていない

P185
カエルは生物的な複合環境の良否を判定し、その推移を監視していくための絶好なバロメーター
カエルの繁栄状態は、それを含む生態環境の状態をきわめて忠実に反映

 
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