ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

掘辰雄の周辺  

掘辰雄の周辺
掘多恵子
【しみじみ度】★★★★

堀辰雄の周辺堀辰雄の周辺
(1996/03)
堀 多恵子

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 高校の頃、掘辰雄の「美しい村」を読み、続けて「風立ちぬ」を読んだ。
風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)
(1951/01)
堀 辰雄

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 高原の村、結核、サナトリウムと、弱々しいイメージばかり先行する作家だが、
僕は他の作家からは得たことが無い美しさと、底知れぬ、不可思議な強さを感じた。

 そこで他の作品にも手を出したが、読めば読むほど、
「美しい村」と「風立ちぬ」の人工的な完成度、硬質な強さが際立ってきた。

この「強さ」は、いったい何なんだろう?

この疑問は、僕の思考の中心に位置した。

そして堀辰雄は、僕の人生の目印となり、大学と大学院でも、堀辰雄ばかりやった。
 
何かを解明した、とは思わない。
しかし、自分にとっての掘辰雄を深めることはできた。
それは、僕の人生に不可欠の作業だったと思う。

 堀辰雄は、萩原朔太郎の「青猫」に対して、次のように記している(本書P126)。

「わたしが人生の入り口で、このような詩集を知つて、それにあれほど夢中になつて自分を打ち込むことができたといふことは、随分いいことだったとおもふ」。

この「詩集」という言葉を「堀辰雄の作品」と置き換えれば、僕の思いそのものである。

 さて、本書は堀辰雄の妻である掘多恵子氏による、堀辰雄をめぐる諸人物の思い出、エピソードを綴ったもの。
穏やかな文章を通して、掘をめぐる人々の優しさを知ることができる良書である。
いい本だなあ、と思って掘辰雄の諸本を集めている本棚を探ったら、
もう1冊出てきた。
刊行当時は就職したて。堀辰雄から一旦距離を置こう、と思って、購入したが
大事にとっていたのだ。忘れてた。

あと、気になって調べて見たが、掘多恵子氏は平成22年4月に亡くなっていた。
いつか、堀辰雄という存在が僕にとってどんなに大事だったのか、
お知らせしたいと思っていたが、手遅れとなってしまった。残念である。


なお、長野県軽井沢町には、堀辰雄文学記念館がある。
http://www.town.karuizawa.nagano.jp/ctg/01613100/01613100.html
 
平成5年、僕は大学の卒業旅行にあわせて、追分を訪れた。
その時、偶然にも、の記念館のオープン当日に訪れることができた。゜
 何の情報もなかったのに、そんな日にめぐり合えたのは本当に幸せだった。
  こればかりは、堀辰雄を中心とした人生を送っていた僕に、
掘がちょっとご褒美として、手招きしてくれたのではないか、と思っている。

 いつかまた行きたいものだ。

チケット
 ↑第1号の入館券。

文庫
↑開館当日、持参した文庫にも日付印を押印してもらった。


 さて、ジブリの次回作は、「風立ちぬ」。
 堀辰雄の「風立ちぬ」と、零戦開発者の話をモチーフとしたものという。
 正直なところ、ちょっと戸惑っている。

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category: エッセイ

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