ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

夢を叶えることは、可能だ! 「ニッポン超越マニア大全」  

ニッポン超越マニア大全 (文庫ぎんが堂)
北尾トロ



趣味は何ですか? (角川文庫)」(レビューはこちら)でも書いたが、他人の趣味は変な趣味に見えがちである。これは、個人の視点だ。

一方、社会全体からすれば、多くが好む趣味が「正しい趣味」であり、愛好者が少数しかいない趣味は「変な趣味」という位置づけがなされる。

だが本来、「何が楽しいか」など人それぞれ。

現在「良い趣味」と認識されている趣味とは、結局のところ大人数でやる(だから多くの人が嗜む)ことが前提であったり、
商売性が高くマスメディアへの露出が多かったり、影響力の強い地位・立場の人が好む又は実施しているといった、
その趣味自体の性質とは関係の無い事実によって、評価を得ているに過ぎないと考えている。

例えば、かつて「趣味の王道」の一つでもあった切手・コイン収集。
そのスタイルに変化はないが、収集人口が激減している今、
小学生が切手収集に熱を上げていると、「変な趣味」と周囲からは言われるのではないか。
そして、「そんなことより、スポーツしたら?」と言い出す始末。

そもそも、趣味に優劣はない。というか、そんなものを考える必要すらない。

重要なのは、どこまで本人が楽しめるかだ。
そしてその趣味の目標は、どんなに周囲から異質に見えようとも、
「夢」であることには間違いない。

そして本書は、その夢を達成した、または達成しつつある、
羨ましく幸せな人々の物語だ。

もちろんタイトル通りというか、あまり一般的ではない趣味が並ぶ。

ボンネット型消防車や、電話、真空管ラジオのコレクター。
国道標識の撮影。
飛行機、巨大カブトムシロボット、ゴム銃、1/23姫路城の製作。

だが、おそらく本ブログを読んでくれている方々はご存知だろう。

ゴム銃製作は、「ゴム銃大図鑑」(レビューはこちら )に結晶している。

国道標識撮影は、実のところ国道を楽しむ様々な趣味の一形態だ。(「ふしぎな国道 (講談社現代新書)」(レビューはこちら)にも掲載。)

自作飛行機どころか、メーヴェ「ナウシカの飛行具、作ってみた 発想・制作・離陸---- メーヴェが飛ぶまでの10年間」(レビューはこちら)を造っている人もいる。

また、作家森博嗣氏は、自宅を走る5インチゲージの鉄道を創っている(森氏のHPはこちら欠伸軽便鉄道のブログはこちら)。での庭園鉄道

また、巨大カブトムシロボット「KABUTOM」(公式HPはこちら)は、マスコミにも何度も取り上げられている。
変な趣味どころか、とても多くの人に夢と感動を与えている。

本書で取り上げられた多くの人も、博物館などを通じ、
多くの方に楽しみを共有してもらうことを目標とし、達成している。

消防自動車博物館http://keiranbokujo.com/company.html
ティッシュでの昆虫政策 工房心の郷 http://kobo-kokoronosato.com/
バス好きが昂じてバス会社設立 銀河鉄道 http://gintetsu.co.jp/
「特急あずさで旅する夢」がきっかけ 夢ハウス・あずさ http://www.yumehouse.co.jp/

何とも羨ましい姿ばかりだ。

掲載された人々の高みまで到達することは、困難かもしれない。
だが誰でも、好きな趣味を通じて、素晴らしい人生を歩むことが可能だという希望を、
本書はしっかりと伝えてくれる。

本書は「月刊ラジオライフ」誌上で連載していた記事の単行本化で、
タイトルや売りも「変な人」を紹介という気配が濃厚だ。

だが本当は、夢を追い求め、夢を実現しつつある人々のドキュメンタリーだ。
雑事に追われる日々の中で、心の糧として、本書は手元に置いておきたい。


【目次】
【1章】四半世紀は当たり前 かけた年月の厚みに驚く
すべてを鉄道に捧げ、鉄道に愛された永遠の鉄道少年
取りも取ったり、200種類オーバーの資格取得マニア
「ラジオがいた時代」そのものを愛する真空管ラジオコレクター
家族の思い出も運命の恋も、国道標識とともに
"自力"で大空を舞った30年 素晴らしき飛行機野郎

【2章】いったいどこまで集めるの? すさまじきマニアの欲求
実戦派ならぬ「実食派」! 戦闘糧食コレクター
「鉄道無線解析」ってどんな世界なんだ?
動態保存がこだわり! ボンネット型消防車マニア
50歳過ぎて覚醒 電話コレクターの深すぎ人生哲学
BBMカード収集家 休日は全部、サイン収集に捧げてきた

【3章】 誰に何を言われようと決してくじけぬタフなメンタル
4時起きで生活と両立 うまい棒コレクターを支える「責任感」
命を吹き込む魔法の手 ティッシュ昆虫アーティスト
バス降車ボタン蒐集家 これは趣味ではない、「任務」である
永遠の工作少年とともに巨大カブトムシロボは「成長」していく

【4章】マニア魂、人を動かす! その情熱を誰かが見ていた】
イチから戦車を再現した男に、現役軍人も感服!
バス愛爆発! たったひとりでバス会社を作ったバスマニア
夢のお告げで特急あずさを買った男 幸福な正夢は終わらない
ゴム銃作って、協会作ったら、仲間ができた
美しきアキバ案内人 私の居場所は秋葉原"電気街"!

【5章】言葉にできないマニアの極北、すごすぎる到達点】
マニアの道はかくも濃い! 親子2代のマニア道
苦節19年、たったひとりで姫路城を作り上げた男
24時間無線音声を追い続ける「無線受信界の鉄人」
プロ野球ぬりえ画家 自称・ヤクルト選手の奇妙な夢

【文庫版書き下ろし】
なぜ撮り続けるのか、そこに「外蛇口」があるからだ
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category: 趣味

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

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コメント

コメントありがとうございます。

外向的なものと内向的なもの、アクティブとインドア等々、
一括りできない数多のジャンルを包括するのが「趣味」ですね。
であれば究極的には、「自分がやりたいか否か」かと思います。
そうすると、役に立つか否かは無論のこと、他人に強要するのは論外と言って良いかと。
ところが世の中には「他人を巻き込むのが趣味」な人もいて、困ったものです。

BIRD READER #aYDccP8M | URL
2017/07/02 10:45 | edit

 趣味は確かに個人の価値感に依存するものですね。佐藤優は宗教だって趣味みたいなものだから、と書いていました。即ち、改宗を強いるのはもちろん、それは功徳にもならないのです。が、裏を返すと他人に迷惑かけるな、と言う事でもあり、それは趣味にも言えるかな?と思っております。
 趣味を通じてコミュニティに入る事もあれば、ストイックに趣味に忠実であることも、趣味のありよう。そういう所にも価値判断を求めるものではないでしょうね。

 そんなことを考えながら、先ほどKindle Storeで購入しました(笑)。

M氏 #- | URL
2017/06/06 21:35 | edit

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