ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

今度は、世界だ。「地球の石ころ標本箱: 世界と日本の石ころを探して」  

地球の石ころ標本箱: 世界と日本の石ころを探して
渡辺 一夫



河川敷や自然海岸へ行けば、誰しも石を拾うものである。異論は認めない。
それらの石ころは、日常の石ころとは違う。
多くは丸く、握り心地が良く、何だか知らないが黒かったり白かったり模様があったりする。
平たい石なら水きり遊びをするだろうし、 手頃なサイズを記念に持って帰る人もいるだろう。

だがその多くは、持って帰る途中、重くて捨てる。
また持って帰っても、いつしか何処で拾ったかすら忘れてしまう。

子どもっぽいと言わば言え。
それでも人は石ころを拾わずにはいられないのである。

そんな悲しくも愛おしい習性を、真っ正面から肯定してくれたのが本書の著者による書物たちであった。

日本の石ころ標本箱: 川原・海辺・山の石ころ採集ポイント」(レビューはこちら)では、基本的に河川・河口での石ころ採集を。

そして「海辺の石ころ図鑑」(レビューはこちら)では、海岸の石ころ採集の喜びを示してくれた。

ただし、何しろ、「石ころ」である。鉱物でもないところがミソで、
もちろん砂岩が泥岩かとか、火成岩か変成岩かという違いはあるものの、
あまり学術的な話は無く、ただ石ころを愛でる心のみが在る。

それゆえ前二冊により、著者による石ころ愛の布教活動は終えた―簡単に言えばネタ切れ― かと思っていた。

が、やはり先達のスケールは違ったのである。
地球規模で石ころを拾っていたのであった。
それも1国や2国ではない。なんと19ヵ国である。
しかも普通の人が行かないようなマニアックな場所で、現地の人と石ころを拾うのである。

ボルネオ島から更に船で20分を要する小島、マヌカン島。
その透明な海、白砂のビーチに著者は立ち、こう語る。

シュノーケルを楽しむには絶好の島のビーチだが、
忘れてはならないのは波打ち際の石ころ。


バックだかポッケだか知らないが、
異国の辺境で、嬉々として手のひらサイズの小石を拾うその姿。
この心の余裕を、我々は見失っているのではあるまいか。

本書はガイドブックの体裁をなしており、もちろん記載されたルートを辿れば、
同様な石ころを拾うことはできるだろう。
だが、残念ながら「たかが」石ころ、そんな酔狂者はいまい。
本書は実用書のようで全く実用ではない、完全に「趣味が昂じた」結果の本である。

とはいえ、僕は心の底から本書に感謝している。
というのも、異国の地に、日本同様に石ころが転がっているという「日常」を想像したことがなかった。
野鳥、昆虫、植物、建物等々、外国を知る手立ては様々だが、
様々な地の肌で実感するには、持ち帰りはしなくとも、
まずは石ころを手に取って拾ってみるのが良いのかもしれない。

著者の趣味は、どこかしら日本人の琴線に触れるような部分がある。
本シリーズを刊行し続けた著者と出版社に、心から経緯を表したい。

【目次】
フィンランド
ドイツ
イギリス
フランス
スペイン
韓国
タイ
マレーシア
インドネシア(バリ島)
インド
イラン
モロッコ
カメルーン
マダガスカル
ケニア
カナダ
アメリカ
コスタリカ
ニュージーランド
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