ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

島に行きたい。生きものが見たい!「そもそも島に進化あり (生物ミステリー)」  

そもそも島に進化あり (生物ミステリー)
川上 和人



鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)」で一躍有名になった著者の本。
テーマは島。
生物の進化は種々絡み合っていて、なかなか全体像をつかむことは難しい。
また、生物地理学-「なぜ、この種がここにいるのか」という(僕にとっては)楽しい話題も、
それこそ地質学的年代まで遡る時代背景と、
文字通り世界レベルの広がりで把握するとなると、かなり煩雑となる。

島は、その限定的モデルとなる。
また一方、島ならではの制約や、条件も存在する。

それらを理解すれば、
多くの人にとっては単なる「南の方の島」である ガラパゴス、沖縄諸島、小笠原諸島やハワイ諸島といった、
様々な島々の生物相の違いが見えてくる。
珍しい種だけを追う生き物屋は別として、おそらく多くの生き物屋が、
様々な生物を追いかけながら、本当に「知りたい」と思っているのは、こうした「進化の成り立ち」ではないだろうか。

本書著者は、そもそも鳥類学者である。
だから鳥類が話題になることが多いものの、
昆虫、爬虫類、両生類(これは海を超えられない生きものとしてだが)、そして植物に至るまで、
それぞれの生物群に従って異なる、「どのように島へ移動するか」、「どのようにして適応放散して種分化するか」が丁寧に説明されている。

また、島といえば固有種が楽しみだが、
それが生じるメカニズムとして、
島と言う隔離された空間で分化することによる隔離分化固有と、
広汎な地域に存在していた種が島だけに残った遺存固有があること、
そして現実にはそれらが入り混じり、特定の固有種がいずれのタイプかを確認することは
なかなか難しいことを知れば、島における固有種を見る目も変わってくるだろう。

また後半では、様々なメカニズムによって島に特化した種に対して、
いかに外来種が脅威となるか(実際になっているか)が説明される。
外来種が在来種の脅威になるということは既に常識だが、
「なぜそこまで脅威になるか」という点について、良い解説書は少ない。
まして、島においてどれ程の脅威になるかは、多くの人間は知ることは少ない。

だが本書を通読すれば、島の生物相が、それぞれの島の地理的歴史と生物進化の賜物であること、
そしてその結果ゆえ、島の在来種は、「島外の生物」(すなわち外来種)に脆弱であることが実感できる。

本書は、軽妙な語り口、様々なジョークといったオブラートに包まれているけれども、
その伝える内容は、島における生物学の最新の到達点である。
鳥でも虫でも植物で良い、
陸上生物に興味がある方は、ぜひ一読をお勧めする。

なお、かなり真面目な口ぶりでジョークをかまし、知らないと真実と勘違いしそうなネタも含まれているので、
ご注意いただきたい。鼻行類の存在を知らない方は、必ずネットでチェックされたい。

【目次】
◆はじめに ここに海終わり、島始まる

◆序 章 そもそも

◆第1章 島が世界に現れる
Section1/島にヤシの木は何本必要か
Section2/島を二つに分類せよ
Section3/新島、大海に立つ

◆第2章 島に生物が参上する
Section1/島に招くには、まず隗より始めよ
Section2/食べれば海も越えられる
Section3/太平洋ヒッチハイクガイド
Section4/ビッグ・ウェンズデー
Section5/風が吹けば、誰かが儲かる
Section6/早い者勝ちの島
Section7/翼よ、あれが島の灯だ

◆第3章 島で生物が進化を始める
Section1/さらば、切磋琢磨の日々よ
Section2/島の「し」は、進化の「し」
Section3/正しい固有種の作り方
Section4/多様化する世界
Section5/動物がときめく島の魔法
Section6/植物がかかる島の病
Section7/フライ、オア、ノットフライ
Section8/だって海鳥ですもの

◆第4章 島から生物が絶滅する
Section1/楽園の落日
Section2/闘え!! ベジタリアン
Section3/プレデターvs エイリアン
Section4/拡散する悲劇
Section5/カガヤクミライ

◆第5章 島が大団円を迎える
Section1/天地開闢
Section2/あなたの島の生まれるところ

◆おわりに ここに島終わり、現始まる
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