ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

なぜ「書聖」なのか。答えは、ここに。「やさしく極める“書聖”王羲之」  

やさしく極める“書聖”王羲之
石川 九楊



いつくかの分野では、時にたった一人が、その分野の歴史を変えるときがある。
その人の存在には、大多数の人々はおそらく一生気づかない。
だが少しでもその分野に関わると、突如として眼前に聳え立つ。

書道では、王羲之である。

「書聖」と称され、同時期・後代に崇められた人物。
その書を愛した唐の太宗(李世民)は、多くの真筆を収集し、崩御した際には書道史上最も有名な「蘭亭序」の真筆を共に埋葬させた。
その他の真筆も全て失われ、現在は精巧な模写・模刻しか残っていない。

だが、それでもその書は燦然と輝き、以降の中国・日本の書道史の礎かつ目標となっている。

こうした伝説的な書家について、多くの写真等を交えて解説したのが本書である。

王羲之については、既に「書聖 王羲之――その謎を解く」(レビューはこちら)でも取り上げたことがある。
これと比較すると、
本書は王羲之の書が、いかに当時の書道界においてエポックメイキングであったのかという点について、
書法、字体、そして石に刻んだ文字との関係から解説していくという点に重点がある。

現在の素人目線からすると、王羲之の凄さは正直、分からない。
それは「楷書」という字体が当然のように存在し、日常的にそれを見ているためだ。

王羲之は「楷書」以前の存在であることが、まず重要である。

そして、未だ文字が「石に刻む」字体と「書く」字体とに分離していた時代に、
自身の「書法」- 字体、三折法というリズムなど-を確立。
この三折法があったからこそ、「石に刻む」字体と「書く」字体が統合、むしろ「書く」字体が優勢となる。

その結果が、「楷書」という字体である。

本書で初めて、王羲之の凄さが納得できた次第である。
もちろん、僕の読解は浅く、また王羲之の書もそんなに簡単なものではない。

だが、「なぜ王羲之は書聖なのか」という点について、
ビジュアルに理解するうえで、本書は良い手引きとなるだろう。

【目次】
1 王羲之―その生涯と書聖伝説
2 書からとらえた王羲之の実像
3 王羲之から見る書の歴史
附 日本は“王羲之立国”


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