ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

21世紀の物理学は、重力の時代だ。「重力とは何か」  

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る
大栗 博司



様々な「力」が生活の中に存在している。
蒸気力、電力、磁力、ジェット噴射による推進力等々。
それらの中で、この宇宙の成り立ちに関係していると考えられる「力」として、
現在は4つ、重力、電磁気力、弱い力、強い力がある、とされている。

これらが相互に無関係に存在するのではなく、おそらく何らかのルールに従って、
統一した理解ができるのだろう、というのが、ごく単純化した現在の物理学(と理解している。)のテーマだ。

「力」とは何か。それを統一する理論があるのか。
それを突き詰めていくことが、日々の生活にそのまま役立つとは考えにくいが、
この世界-正確には宇宙の成り立ちを人類が理解することは、
人類という知的生命体にとって、大きな転換点になるだろう。

ただ、既に現在の最先端の「力」の理論でさえも、一般人が理解することは、なかなか難しい。
というのも、ニュートン、アインシュタイン、ホーキング、そしてファインマンやハッブル、マクスウェル等々、
物理史どころか、科学史に燦然と輝く人々が生涯を賭けて明らかにしてきた事柄を理解しなければならないからだ。

「力」の統一というのがなぜ重要なのか、
そして科学史におけるニュートン、アインシュタインの本質的な「凄さ」の意味、
それに対するホーキングの立ち位置等、理論物理学は一筋縄では理解できないテーマでもある。

本書は、そうした「力の統一」を目指した科学史を縦軸に、
そして「重力とは何か」ということを横軸に、現在までの理論物理学史を丁寧に説明していく。

順を追うことによって、僕のような文系人間でも少しずつだが理解できるようになっている。
もちろん、最終章に近づくにつれて難解になっていく(数式は無い。むしろ、イメージすらできない世界が広がっていく) のだが、
手元に置いて、何度も読み返していこうという気になる一冊だ。

ニュートン2016年5月号でも、四つの力が特集されていた。


この「四つの力」の重要性を知らなければ、今後の科学ニュースの重要性を理解することもできないだろう。
そうした意味で、本書は入門書として、ぜひ一読しておきたい。
なお、Dr.プリティラブ氏が、「Dr.プリティラヴ-愛妻に恋する博士の日常-」で紹介されていたように、本書はとても「面白い本」である。
なかなかこんな本は無い。

【目次】
伸び縮みする時間と空間 ---- 特殊相対論の世界
重力はなぜ生じるのか ---- 一般相対論の世界
ブラックホールと宇宙の始まり ---- アインシュタイン理論の限界
宇宙玉ねぎの芯に迫る ---- 超弦理論の登場
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category: 物理学

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

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コメント

コメントありがとうございました。

 超弦理論や重力のポピュラー・サイエンスとしての出版、もちろん仮説として整理されてきたのもあるでしょうが、もっと下世話ながら、出版社が「一般受けする話題」と認識したことが大きいような気がします。(特にノーベル賞がらみで、素粒子物理学が脚光を浴びたためかと。)
 むしろ出版界には話題の先取りを期待するのですが、そうすると、なおさら売らんかなのトンデモ本が増えるかもしれませんね。

BIRD READER #- | URL
2016/08/09 19:58 | edit

 懸案だった重力波も検出され、この世界、色々嬉しい事もあるようですね。四半世紀は前に一時流行った「大統一理論」、その後のインフレーション理論や超弦理論が、ここしばらくポピュラーサイエンスに出てきている、と言うその裏にあるのは何なのか、という事を考えることがあります。一番好ましい仮説は研究の現場で理論としての確からしさがはっきりしたことで、教養書に持ってこれるレベルまで煮詰まったのか?或いは単に出版不況なのか(実際、大丈夫かこいつ?って本もたくさん出ています)。石油30年、温暖化50年、これは早期の警鐘がある程度世間で知られるのにかかった時間だと言いますから、話の伝搬、と言うのは遅いものなのか?
 ともあれ、「はじめての〈超ひも理論〉 (講談社現代新書)」から11年、基礎物理学の一般化は、科学者の端くれとしては嬉しい事です。「ブラックホール・膨張宇宙・重力波」(光文社新書)はご紹介の本よりずっと退屈かもしれませんが、地味に面白かったです。

M氏 #- | URL
2016/08/06 17:44 | edit

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