ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

消えてからでは遅い。「干潟生物観察図鑑」今、調べよう!!  

干潟生物観察図鑑: 干潟に潜む生き物の生態と見つけ方がわかる
風呂田 利夫,多留 聖典,中村 武弘



今春、香川県坂出市の綾川河口へ潮干狩りへ行った。
数年前に行ったときは殆ど採れなかったのだが、例年、同地は大変な人出になるため、捕り尽されるのかと考えた。
そこで今年は3月上旬に行ったのだが…、やっぱり恐ろしいくらい採れなかった。
数時間、大人3人と子ども1人で、人差し指の先くらいのアサリが15個程度、あとはクチバガイが15個程度。
子どもの頃はバケツに一杯、20年前でもバケツ半分くらいは採れていたのだが、干潟の生産力が全く無い感じだ。
そういえば、以前は河岸にウミニナやアサリの貝殻が大量にあったが、現在は全く無い。
原因は様々だろうし、現状がただちに悪化なのかもよく分からない。
(以前のように大量に採れるのは富栄養化の結果だろうし、かなりヘドロじみた泥が堆積していた。)
ただ、こうした環境の変化をきちんと把握し、記録しておけば良かったな、と感じた。

本書は、綾川河口ではもう遅いけれど、干潟の生物を手軽にチェックできる図鑑。
干潟の環境を本気で調べようとすると、貝類、甲殻類、魚類、鳥類、ゴカイの仲間と、様々な分野の図鑑が必要となる。
けれども、代表的な生物種は決まっているので、こうした図鑑が一冊あれば、かなり同定が楽になる。
(こうした図鑑に無い種は、それこそ専門図鑑で調べるような種ということだ。)

マメコブシガニ
▲夕陽を浴びるマメコブシガニ。

アナジャコ
▲脱皮直後の(たぶん)アナジャコ。

本書では、カニ以外の甲殻類(ソコエビやヨコエビ)にも視野が届いていることと、ゴカイ類が類書よりも充実していることが特徴。
また、様々な生物種ごとのトピックも盛り込まれており、読み物としても楽しめる。

生物相としては関東が基準のようなので、瀬戸内海における類書、「瀬戸内圏の干潟生物ハンドブック」と組み合わせてチェックすれば良いだろう。
その他の地方でも、大きな干潟を擁していれば、それなりの専門図鑑があるような気がする。

それにしても、子どもに潮干狩りの面白さを実感されることができなかったのは、ショックだ。
僕はまだ過去の経験を語ることができるが、おそらく息子は、潮干狩りの面白さを知らず、伝えることもできないだろう。
こうして世代を重ねて行けば、当然いつかは「干潟なんてどうでもよい」という世代が生まれるだろう。

ちなみに5月の連休、綾川河口はまた凄い人出だったが、
あの時に来ていた子供たちが抱く経験と記憶を思うと、本当に残念な気持ちになる。
(もし沢山採れていたなら、たぶんアサリを撒いたのだろう。)

実体験を伝えることは大事だが、その実体験を伝えられる「場」を残すことが、まず必要だ。

【目次】
第1章 干潟の生物データファイル
第2章 干潟の生物を調査しよう
第3章 「干潟」を知ろう
第4章 見たい・行きたい全国の干潟


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