ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

この夏は、「虫のしわざ観察ガイド—野山で見つかる食痕・産卵痕・巣」を持って歩こう。  

虫のしわざ観察ガイド—野山で見つかる食痕・産卵痕・巣
新開 孝



フィールドに出て、目当ての生物に出会える者は幸いである。
だいたいは、フィールドにも出られない悶々とした日々を過ごし、
街中の植え込みや街路樹に、慰めとなる生きものの姿を求めることも多い。

待ちに待った休みにフィールドに出ても、
もちろん目当ての生き物の時期・場所にマッチすることは難しい。

自分だけならまだしも、
観察会など、野外での観察に馴染みの少ない方を案内している時など、
お見せできる生きものの姿がない時は、大変だ。

どれだけ、「見えない生きもの」を語り、興味を持ってもらえるか。
案内人の引き出しと話術が問われるところである。

そんな時、野鳥なら羽根、古巣、食痕、糞などから、
今はいない野鳥を語ることができる。
そうした、痕跡から生き物を見つけることを、トラッキングという。

トラッキングの愉しみが伝わる本として、「自然ウォッチングのコツ (コツがわかる本!)」(レビューはこちら)を紹介したが、
本書は昆虫トラッキングに特化したもの。

それだけに、収録されている「虫のしわざ」は多岐にわたるとともに、
生き物をもとめてフィールドを彷徨ったことがある方なら、
どこかで見た事がフィールドサインが満載である。

収録方法も、虫の分類別ではなく、
草花、タケ・ササ、樹木、地面や崖、水辺、人工物と、
フィールド別になっているのも、嬉しい。
しかもその「しわざ」が何と言う虫のしわざなのかというだけでなく、
何のためか、なぜなのかと、
生態にまで視野が及んだ解説が、コンパクトになされているのも有り難い。

本書があれば、生き物に溢れた世界を実感できるだろうし、
もしかしたら小学生などは、「身近な虫のしわざ」を探すという夏休みの宿題もできるかもしれない。
そうして「見過ごしている命」に気づくことが、おそらく今最も大事な経験ではないかと思う。
本書のような本は、もっと刊行されるべきだろう。

なお、鳥関係のフィールドサインについては、「自然ウォッチングのコツ (コツがわかる本!)」のレビューに少しまとめて紹介しているので、ぜひこちらも参考にしていただきたい。
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category: 昆虫

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