ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

太陽が及ぼす地球への影響、そして太陽系の謎を探る。「とんでもなくおもしろい宇宙」  

とんでもなくおもしろい宇宙
柴田 一成



冥王星のクォリティの高い画像を見られたり、
木星の衛星エウロパの氷の下に水がある可能性が高いことから、生命が期待出来たりと、
宇宙探査もワクワクする時代となっている。

ただ、「宇宙」と言っても、大きく「太陽系」「太陽系外」という区分が、おそらく無意識にある。
そして太陽系は、その名のとおり「太陽」が中心である。その仕組み・活動を知ることは、
太陽系を理解するために欠かせないベースとなる。

本書は太陽研究を主テーマとする著者が、最新の研究成果等を踏まえつつ、
太陽の仕組みと地球への影響、月、太陽系の惑星とその衛星について解説するもの。
「宇宙」というタイトルだが、おおむね視野は「太陽系」と思って良い。

だから、「宇宙の成り立ち」といった内容を期待すると当てが外れるが、
一方で太陽の不思議さと、それが地球に及ぼす影響については、非常に詳しく、かつ分かりやすい。
太陽フレアやプラズマによる地球への影響となると、まずはオーロラだ。

関係書に「NHKスペシャル 宇宙の渚―上空400kmの世界 (NHKスペシャル)」(レビューはこちら)や、
オーロラ 宇宙の渚をさぐる (角川選書)」(レビューはこちら )があるが、
これらは「太陽からフレアが発生する仕組み」までは、解説されていなかった。

その点、本書ではいわば、「原因」から解説するので、とても分かりやすい。
オーロラ 宇宙の渚をさぐる (角川選書)」でも地球の磁力圏に侵入する電子の動きについて解説されていたが、
本書とあわせて読むことで、そのメカニズムがより一層深く理解できると思う。

また、地球に別天体がぶつかって月が形成されたとする「ジャイアント・インパクト説」によれば、
月の形成には1ヶ月~1年程度しか要しなかったこと、
またできたはがりの月(46~45億年前)は今よりもずっと地球に近く、
地球の半径の3~4倍(現在は60倍程度)の距離にあったという。
こうした過去の地球/月の姿を思い浮かべることも、地球の歴史を考えるうえで重要だろう。

このほか、現在「かに星雲」として知られる超新星爆発の残骸があるが、
その爆発そのものを観測した記録が、藤原定家の「明月記」(治承4年(1180年)~嘉禎元年(1235年)までの56年間にわたり記録した日記)に記載されているというエピソードも紹介されている。

御冷泉院、天喜二年四月中旬以後丑時
客星 觜参の度に出ず、東方に見え、天関星に孛す
大きさ歳星の如し
(オリオン座の辺りに一時的な現れる星が見えた。)

この話題が、グリニッジ天文台の天文学史コーナー、
1000年間に10程度のエピソードしか掲載されていない中に入っているというのも、面白い。

なお本書でも、著者は日本の基礎科学の軽視傾向に警鐘を鳴らしている。

「基礎研究は、研究者自体が予想もしなかったことで実社会の役に立つような成果を出すことがあります。」

「日本の科学、そして学術政策はあまりにも近視眼的になり過ぎています。もっと長い目で、十年、何十年先までを考えて、基礎から人を育てていかなければならないのに、それを怠っているのではないでしょうか。」

「いざと言うときに「人材がいません」となるのも、育ててきていないから当たり前なのです。」

様々な科学的課題について、それを解決するのは応用化学だけでなく、基礎研究も必要だ。
東洋社会において、おそらく素直な基礎研究を行え土壌がある国は、おそらく日本くらいだろう。
だからこそ、日本は率先して基礎研究に注力すべきではないかと思う。

【目次】
はじめに
第1章 とんでもなく激しい太陽の素顔と星のスーパーフレア
第2章 超巨大な衛星、月の不思議
第3章 個性豊かな太陽系の惑星たち
第4章 スーパーフレアの謎を解くリコネクション
第5章 宇宙物理学者による地球外生命体のマジメな議論
終章 天文学者が目指す地平
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