ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

低山へ向かう人にこそ、読んで欲しい。「ドキュメント 滑落遭難」  

ドキュメント 滑落遭難 (ヤマケイ文庫)
羽根田 治



山での「滑落」と言うと、少なくとも2,000m前後の峰、
装備を十分に整えた登山者が行くような山での事故というのが、
多くの方のイメージではないだろうか。

しかし実際のところ、ツアー登山やガイド登山が盛んとなっている現在では、
定年退職して「登山でもやろうか」という方も遭遇する可能性が高い事故だ。

というのも、「滑落」という言葉が持つイメージに騙されがちだが、
滑落するというのは、いわば結果である。
その背景には、道迷いや能力不足(自身の体力や技術の過信)、気の緩みなどが潜んでおり、
そちらこそが重要な原因であり、防御点となる。

だが、上記の通り、一般人になればなるほど、
「滑落」というのは山のベテランが遭遇する事故と思っており、
「自分には起こり得ない」と誤解している。

本書は、近年山岳遭難をテーマとして、様々な事例を収集し、丁寧に再現し、
冷静な視点での分析を加えてくれる筆者によるシリーズの一冊(これまで紹介した本は末尾にて)。

滑落遭難としながらも、読み進めれば、
滑落に至った原因が誰にも起こり得るものだというのが実感される。

また、滑落後の自身・パーティの行動についても言及があり、
高度に関係無く、「登山道を登る」という人なら一度は読んでおくべきだろう。

なお、「埼玉県警山岳救助隊からの報告」の章では、
1,500m程度の山での道迷いからの滑落と言う事例が紹介されている。

報道では、日本アルプスなどでの滑落事故ばかり伝えられるが、
こうした低山での道迷い/滑落という事故は、
おそらく「滑落事故」とは誰も認識せず、また情報が共有されることも無いだろう。

だが、大部分の「山好き」が遭遇するのは、こうしたレベルの事故である。

山岳での事故は、陥ってからでは遅い。
体力・技術が十分でないのなら、知識だけでも増やし、
自身と周囲の人を悲しませないよう心掛けたい。

【目次】
富士山―二〇〇〇年四月
北アルプス・北穂高岳―二〇〇一年九月
大峰山脈・釈迦ヶ岳―二〇〇六年五月
赤城山・黒桧山―二〇〇七年一月
北アルプス・西穂独標―二〇〇七年三月
南アルプス・北岳―二〇〇七年六月
近年の事例―埼玉県警山岳救助隊からの報告

▼レビューはこちらhttp://birdbookreading.blog.fc2.com/blog-entry-540.html


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