ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

アマゾンを彷徨い、消えた探検家の軌跡を追う。「ロスト・シティZ~探検史上、最大の謎を追え」  

ロスト・シティZ~探検史上、最大の謎を追え
デイヴィッド・グラン



中学生の頃、もちろんマニアックな文系少年の嗜みとして、雑誌「ムー」を購読していた。
宇宙人やUFO、幽霊や超能力、陰謀論に謎の古代文明。
もちろん荒唐無稽な話だが、そのオカルト的な話の数々は、
現実の史実や地理の上に成立している。
振り返ると、雑誌「ムー」で得た知識ほど、
後のSF、冒険小説や推理小説、様々な映画等々の素養として有用なものは無かった、と思ってしまうほどだ。

念のため書いておくが、もちろん、それらが事実という話ではない。
そうした「伝説がある」「奇譚がある」という知識が、
様々な分野のフィクションを楽しむ基礎知識として有用である、という意味だ。

さて、その中でも、だいたい3年に1度くらいのペースで取り上げられていたのが、
謎の古代文明都市、エル・ドラドである。

アマゾンの奥地に、極めて高度な、そして黄金に溢れた未知の文明が存在し、
その文明を代表する都市こそが、エル・ドラド。
確かダイレクトに「黄金郷」と和訳することが多かったと思う。
その都市は数多の冒険者を引き寄せ、著名な探検家パーシー・フォーセットもまた、
エル・ドラドを求めて密林を分け入り、そして戻ってこなかった。

インディ・ジョーンズのような話だ。
だが、パーシー・フォーセットという優れた探検家が存在し、
彼がエル・ドラドを求め、そして行方不明になった、という部分は、史実である。

本書は、著者デイヴィッド・グランが、「フォーセットはどうなったのか?」という、
いわゆるフォーセット・ミステリーに取り組み、自身アマゾンへ向かう物語である。
「ロスト・シティ Z」とは、すなわち上記の「エル・ドラド」(本書では「エル・ドラード」と表記)のことだ。

二重奏のような構成となっており、著者の旅と、
探検家・フォーセットの人生がほぼ交互に繰り返される。
現代の旅と比較して、なんとフォーセットの時代のアマゾンが過酷だったか。
虫、病気、飢え、泥。
読み進むうちに、まるで自身が密林にいるかのような息苦しさを覚えるほどだ。

また、フォーセットに関する客観的な本はあまり見た事が無い。
だが本書では、フォーセットのタフさ、有能さ、
また一方、部下に対しての苛烈さなど、
リアルな人間としてのフォーセット像が伝わってくる。

本書中ほどには数ページの白黒写真が収録されており、
フォーセットを始め、当時の状況が分かる写真等が掲載されている。

そこから後半、フォーセットが行方不明になり、
著者がアマゾンで、フォーセットが消えただろう現場に立ってからが、
本書の山場となる。
いったいフォーセットに何が起こったのか。
そしてエル・ドラドは、あったのか。

アマゾンという遥かにして過酷な地に刻まれた謎に対して、一つの解答を示した本書。
これが正解かどうかは分からないが、
いずれにしてもフォーセットの足跡と、アマゾン文明史は、もっと注目され、
研究されるべきだろう。

本書は、エベレストに消えた登山家、ジョージ・マロリーを探す旅を綴った、
そして謎は残った―伝説の登山家マロリー発見記 」(レビューはこちら )と同様、偉大な冒険家に関わる謎を追究する物語として、非常に楽しめる一冊。
ぜひ、夏場に読んでいただきたい。

そう、夏と言えば、本書はブラッド・ピットが映画化権を取得。
長らく待っていたのだが、ようやく2016年夏公開と言う2017年公開としてオフィシャル・サイトも公開http://www.lostcityofz.com/。予告編もYOUTUBEに出てきた。(まだまだ一抹の不安はあるが)。 

いよいよ公開されるだろう映画を期待したい。


【目次】
はしがき
1 かならず戻る
2 失踪
3 捜索がはじまる
4 埋蔵された財宝
5 地図上の空白
6 門弟
7 フリーズドライのアイスクリームとアドレナリンソックス
8 いざアマゾンへ
9 秘密文書
10 緑の地獄
11 デッドホースキャンプ
12 神々の手中
13 身代金
14 Zの論証
15 エル・ドラード
16 鍵のかかった箱
17 全世界が狂っている
18 科学的妄念
19 予期せぬ手がかり
20 心配はいらない
21 最後の目撃者
22 デッド・オア・アライブ
23 大佐の遺骨
24 別世界
25 Z
謝辞
解説--石川直樹
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