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化石から生命の謎を解く 恐竜から分子まで (朝日選書)  

化石から生命の謎を解く 恐竜から分子まで
化石研究会
【わくわく度】★★★☆

化石から生命の謎を解く 恐竜から分子まで (朝日選書)化石から生命の謎を解く 恐竜から分子まで (朝日選書)
(2011/04/08)
化石研究会

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化石学、というか古生物学に関する研究手法は日進月歩で、様々な「常識」が覆されている。
立っているときの姿勢もそうだが、現在は小型恐竜に羽毛があったという見解が多く、
最近の復元図ではそのように描かれていることも多い。
では、どのような研究手法で、そうした新発見がなされるかというと、
化石を「化石」というカテゴリー内で研究するのではなく、現生生物と同様の視点からの研究が、新しい地平を開いているようだ。

本書の著者は「化石研究会」。耳慣れないグループだが、
次のような研究者の集まりという。

p4 
・現生の生物と同じような手法で化石を調べる→「古生物学の近代化」
 「化石研究会」は、「古生物学の近代化」を掲げている。

そして本書は、様々な研究者が、自らのテーマについて解説した小論の集合である。
章によっては、(その小論内では)全く化石と関係ない、というのも含まれる。

僕としては、
カイギュウ類が小型→大型化した経緯(第1章1)、
メタセコイアの識別に関する話(第1章2)、
紫外線の増減と生物の絶滅との関係(第3章15)、が興味深かった。

メタセコイアについては「メタセコイア」である程度知ってはいたが、
識別の内容については本書の方が詳しい。葉の付き方(対生か互生か)が、
セコイア・メタセコイア・ヌマスギでは、種子の鱗の付き方にも一致している、という、
植物の識別に関する新しい「見方」を得られたのは収穫である。

また、第3章15では、昼行性動物と夜行性動物のビタミンD生成メカニズムの違いから、紫外性量の影響を示し、隕石落下による紫外線量の減少が、昼行性動物であった恐竜の絶滅につながった、という説を示す。
隕石落下だけでは、なぜ(一部は鳥類として残ったといえ)恐竜だけが絶滅し、哺乳類や一部の爬虫類等が生き残ったのかよくわからない。
そのメカニズムをビタミンD生成システムという面から解き明かす、かなり説得力のある説と感じた。

【目次】
第1章 同定から復元へ
1 「人魚」の化石-「人魚」が海牛へ姿を変えたわけ
2 生きている化石メタセコイア
3 ベールを脱ぎ始めた深海ザメ化石
4 フライドチキンで骨学を
5 絶滅動物の復元法
6 形態的特徴と遺伝情報で探る生物の類縁関係
第2章 生活を復元する
7 世界最小の肉食恐竜モノニクス類の謎に迫る
8 ミクロの化石-有孔虫の化石から過去の環境を知る
9 ナウマンゾウは津軽海峡を泳いで渡ったか
10 深海生クモヒトデの古生態
11 恐竜の足跡から生態を復元する
12 古病理学への招待-貝の化石に残る病変から古代生物の苦闘の跡を読みとく
第3章 起源と進化を探る
13 歯の起源をさらにさかのぼる
14 生きている化石で探る魚の歯の進化
15 恐竜の絶滅-光の世界の破綻
16 顔の成り立ち
第4章 ミクロの世界
17 真珠貝の謎-石灰化のメカニズムを解く
18 細胞の判断-細胞にも意思がある
19 動物がつくる鉱物-「生体アパタイト」とは?
20 分子化石が語る生命と地球の歴史

【メモ】

P39
・植物の葉、互生は1節に葉が1枚つくが、枝のまわりに一定の角度でずれながらついている。葉がついている部分をたどると「らせん配列」になっている。「らせん配列」の葉のずれ方は、フィボナッチ数になっている。
 フィボナッチ数=0、1、1、2、3、5、8… Fn+2=Fn+Fn+1
ex)アラカシ
 5枚目に同じ位置に葉がつき、その間にらせんは2回転している。
 →2/5葉序。フィボナッチ数=2/(2+3)

P41
メタセコイア等=種子はウロコ模様。

ヌマスギ  葉=互生(らせん配列)、球果のウロコ模様=斜めに並ぶ=らせん配列
セコイア  葉=互生(らせん配列)、球果のウロコ模様=斜めに並ぶ=らせん配列
メタセコイア 葉=十字対生がねじれた対生、球果のウロコ模様=十字対生

P48
・植物化石の種類
圧縮化石=植物体がそのままに近い状態で残っている
印象化石=植物体が消失し、痕跡しか残っていない
鉱化化石=植物体が珪酸や炭酸カルシウムで置き換えられた化石 珪化木など

P53
・三木博士が、化石だけでメタセコイアが落葉性と指摘した根拠
「メタセコイアの化石の枝の長さは一定で、枝の先端に芽がない」
セコイアのような常緑樹は秋に枝先に、冬を越し翌年に伸びる芽(越冬芽)をつける。
このため、枝は1年ごとに段をつくる。
メタセコイアにはこれがない。

P146
ナウマンゾウ 温帯の落葉広葉樹林の森に棲む。
マンモス   寒冷な地域の草原に棲む。
北海道は、両者の分布において、南限・北限だったたため、気候変化によってナウマンゾウとマンモスが入れ替わっている。

P170
四足動物の足跡における「内輪差」
大型恐竜など重心が後ろよりの動物=前足で舵取り=カーブでは、後ろ足が前足の内側を通る。
ゾウなど重心がやや前よりのの動物=後ろ足で舵取り=カーブでは、前足が後ろ足の内側を通る。

P190
サメの皮膚=トゲ状のウロコ(楯鱗)、これが口の中に広がり、大きくなったものが歯


P212
・あえて対候性能を下げて、紫外線の透過性をよくしたビニールシートが、イチゴやナス栽培で使用されている。=受粉昆虫(ハチなど)は紫外線を利用するため、紫外線を除去すると、活動の妨げになる。

P215
爬虫類、鳥類、哺乳類の多くは、ビタミンD3の生成を陽光中の紫外線に依存している。
ex)ヒトの表皮:プロビタミンD3(7-デヒドロコレストロール)が250μg/g
 プロビタミンD3+UVB(B域の紫外線、波長280~315nmの電磁波)+一連の熱異性化反応=ビタミンD3
ビタミンD3=カルシウムやリンの吸収、骨形成に重要な働き。

一方、紫外線は有害なので、体表のメラミン色素で遮る防御機構もあり、微妙なバランスが保たれている。
∴アフリカやインド亜大陸のヒト→シカゴやロンドンなどの高緯度地方では、紫外線を遮る方が強く、ビタミンD3欠乏症(クル病)が多く起きている。

日中に活動する昼行性の動物=紫外線を遮る防御機構が強い。
夜行性=紫外線に依存しないビタミンD生成システムを持っている
岩の隙間、密林、水中=わずかな紫外線でビタミンDを生成する

→紫外線の減少は、昼行性の動物にダメージを与える
→「紫外線減少イベント」は、地球の歴史上何度も発生した。

古第三期のどこかで発生した「紫外線減少イベント」で、昼行性の祖先的なサルの絶滅が生じ、これに代わって夜行性から昼行性へ進化したのが人類を含む旧世界ザルとリスザルなどの新世界ザル。

ビタミンDの過剰な蓄積は毒。
生成を紫外線に依存することは、適応的な意味がある。
昼行性の動物=紫外線依存型のビタミンD生成システムを持つ。

旧世界ザル→夜行性から昼行性になる段階で、紫外線依存型のビタミンD生成システムの復元に失敗し、爬虫類や鳥類、新世界ザルでは、抗クル病活性のないビタミンD2にも抗クル病活性を示すようになった。

恐竜:隕石落下による紫外線の減少により、ビタミンD3の生成ができなくなったのではないか。

P232
嗅覚:無脊椎動物にも備わっている原始的な感覚で、脊椎動物でも真っ先に鼻ができる。
水中では左右に離れ、どちらから臭いがくるか突き止めていた。
空気中では臭いは拡散するため、鼻がによる位置確認はできず、鼻は中央に寄る。
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