ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

知らないだけで、ダニは面白い。「ダニにまつわる話」  

ダニにまつわる話 (ちくまプリマーブックス)
青木 淳一



本ブログでは様々なジャンルの本を紹介しているが、コンスタントに閲覧件数が多いのが
ダニ・マニア―チーズをつくるダニから巨大ダニまで」(レビューはこちら)である。

ダニに関する本として、「ダニ・マニア―チーズをつくるダニから巨大ダニまで」が最新知見の本であるとすれば、
本書は日本におけるダニ研究の黎明期から第一線で活躍した研究者が、
その知見を元に、60歳になった時点で「ダニにまつわる話」一般向けに書き下ろしたもの。

著者のお人柄だろうか、文章は平易かつ誠実さに溢れ、ダニというテーマながら、
とても心地よく読み進めることができる。

本書は全7章。
それぞれは2~10ページ程度のトピックスが集められており、
「七味唐辛子事件」「団地のダニ対策委員会」という生活に密着した話題もあれば、
「鳥につくダニ」「アリに家畜にされたダニ」など、進化史上も興味深いトピックス、
また、「ダニによる環境診断」「木もれ日公園のダニ」など、環境保護への展開、
「プールのダニ研究で博士になった人」「銀座のダニの故郷」など、ある場所に生息するダニの種類から、
生物地理学的な知見を探るもの等、分野は極めて広い。

もちろん、「ダニ・マニア―チーズをつくるダニから巨大ダニまで」でも取り上げられている、
チーズをつくるダニ(造られるチーズは、アルテンブルガーチーズ)の話もある。

また、ダニの繁殖方法として、雄は精子の入った風船珠(精苞)を何個か立て、
それを見つけた雌が精子を受け取るなんて、そんな不可思議な繁殖方法だとは思ってもいなかった。

さらに、日本において、かつて書画の表装や紙細工を生業としていた「経師屋」が、
「古糊」という3年以上寝かした良質の糊を用いていたのだが、
それをつくるのにダニが一役買っていた等、歴史的にも興味深いエピソードまである。

「ダニ」というと厄介な生物というイメージが強いが、自然界ではむしろ分解者として有用であり、
人間に悪影響を及ぼすダニの方が少ない。

正しいダニの姿を理解するためにも、ぜひ、多くの方にお読みいただきたい。
小学校高学年でも、十分理解でき、そして必要な知識と思う。

なお、著者である青木淳一氏は既に退官しているが、
その研究姿勢や考え方、また著者が考える「博物学」の意義、面白さを紹介する本として、
博物学の時間: 大自然に学ぶサイエンス」(レビューはこちら)がある。
こちらもお勧めである。

【目次】
第1章 ダニ・ノイローゼ
第2章 ダニ騒動
第3章 日本人の住居とダニ
第4章 本物の街のダニ
第5章 役に立つダニ
第6章 ダニのおもしろい習性
第7章 ダニ研究余話





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