ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

宇宙は、夢を追う人の世界だ。「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 」  

ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験 (光文社新書)
大鐘 良一,小原 健右



宇宙からの危機に際して、映画では、そこらのおっちゃんが宇宙によく行く。
しかし当たり前の話だが、現実の宇宙開発は少なくても国家的プロジェクト、有人レベルとなると世界的プロジェクトである。

一方、宇宙は言うまでもなく、物理的にも精神的にも極限状態であるから、
世界的プロジェクトを遂行するという、とてつもないプレッシャーの下で、
円滑にミッションを遂行させなければならない。
宇宙飛行士には、恐ろしく高度なスキルとタフさ、そして人間性が要求される。

だが人間は、機械と異なりゼロから設計できず、一人一人に個性がある。
その中から、いかに宇宙飛行士にふさわしい人物を選抜するかというのは、
なかなか興味深いテーマである。

幸いにも、現在は「宇宙兄弟」(僕はつまみ読み程度)でその片鱗は伺えるが、あれはあくまでもフィクション。
おそらくそのベースの一つとなったであろう、
世界で初めて国家レベルの宇宙飛行士選抜試験に密着したドキュメントが、本書である。

ISSに滞在する宇宙飛行士を選抜するJAXA。
2010年に刊行された本書の時点では、
今回追う試験を含め、25年でたった5回しか開催されていない。
そして2008年、10年に年ぶりに募集された宇宙飛行士選抜試験には、
全国から963人の応募があった。

書類選考、当初の健康診断、英語の筆記試験等で、
まず230人に減少。

続く1次選抜試験では、
さらに詳細な医学検査や心理・精神面の検査と、
数学・物理・化学・生物・地学と一般教養の筆記テストで、48人に減少。

さらに第2次選抜試験であるJAXAによる面接を経て、
最終候補者として絞られた10名が、
やっと最終選抜試験-
10日間の閉鎖空間での生活に入る。
宇宙飛行士になるには、この常時チェックされている空間において、
次々と出される様々な課題に取り組む中で、
他人より秀でながらも、他人を敬う協調性を示さなければならない。
それも上辺だけでなく、その人の本性として。

普通に考えると、宇宙飛行士選抜試験にトライできるような人間自体、
そうそういるとは思えない。
逆に言えば、最終選抜試験に残った10人は、
宇宙飛行士にふさわしい資格・人間性を秘めた錚々たるメンバーであり、
しかも「宇宙飛行士になる」という夢に手がかかっている状態だ。

そうした人たちが、極限状態で陥る混乱と焦り。
全員を応援したくなる雰囲気の中で、読んでいるこちらまでドキドキしてくる。

また、本書では続いて、NASAによる選抜も紹介されている。
アメリカならではというか、長い宇宙開発史をふまえた人選方法は、
日本の選抜方法とも異なる深みがある。

この試験の結果、誰が選抜されたかという結果は、調べればすぐに分かる。

だが、彼らが生まれながらの宇宙飛行士ではなく、
こうした選抜試験を耐え抜いた元一般人であるという事実を知ることは、
日本の宇宙開発を等身大に理解するうえで極めて重大だろう。

宇宙は、一握りのエリートのものではなく、
夢を追う人間のものなのだ。

【目次】
第1章 選び抜かれた10人の“プロフェッショナル”たち
第2章 “極限のストレス”に耐える力
第3章 “危機”を乗り越える力
第4章 NASAで試される“覚悟”
第5章 宇宙飛行士はこうして選ばれた

YOUTUBEで、スペースシャトル・アトランティスの打ち上げと帰還のビデオを発見。
やっぱりスペースシャトル、カッコいいなぁ。


あと、ISSから見た地球の、ライブカメラ。
この美しい地球上で、まさに今、
多くの怒り、苦しみ、哀しみや理不尽が続いていると思うと、やるせない。

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