ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

東京国立博物館そのものを、味わう。「藤森照信×山口 晃 探検! 東京国立博物館」  

藤森照信×山口 晃 探検! 東京国立博物館
藤森 照信,山口 晃



国立科学博物館へは数度行ったことがあるが、
国立博物館へは行ったことがない。
興味が無いわけではないが、地方在住者の限られた東京在住時間では、
どうしても優先順位をつけざるを得ない。
様々な企画展や、書籍において「東京国立博物館蔵」という品々を見るにつけ、
つくづく、東京に住んでいる方を羨ましく感じるしだいである。

さて、その東京国立博物館、いわゆる東博(トーハク)について、
その収蔵品もさることながら、国立博物館という施設・存在そのものを探究するのが本書である。
著者の一人は建築家の藤森照信氏。赤瀬川氏と共に路上観察学を実践していた方であり、
専門家の知見を持ちつつ、その視点はどこか一般人的なものを感じさせる。
素朴で鋭い疑問、という感じだ。

一方、同行する絵師は山口晃氏。
本ブログでも「ヘンな日本美術史」(レビューはこちら)で紹介したこともある、
どこか日本的な、極めて軽やか・鮮やかな筆致で描かれる方だ。
(須藤元気が率いるユニット WORLD ORDERのアルバム「2012」のジャケットも描いている。 )

この二人が、東博の本館、表慶館、東洋館、茶室等を練り歩きながら、
それぞれの建築物の来歴や特色を見つけ、語っていく。

日本文化を収蔵する博物館は、一方では収蔵品である日本文化を象徴する伝統性を示しつつ、
一方では博物館という西洋的システムと機能を持つ必要がある。

しかもそれが、「国立」という国の威信をかけた建造物であるとすれば、
設計者の苦悩と主張は、現代の様々な建築よりも遥かに重いものだったろう。

それを示すかのように、国立博物館のそれぞれの建物は、
各々異なった思考・主張・見解を踏まえて、「この建物はかくあるべき」というものになっている。

明治維新以降の日本の発展と、建築における西洋文化の取り込み。
そうした面から国立科学博物館が楽しめるとは、思いもしなかった。

また、皇族や国賓などのみが入れるVIPルームである「便殿」、表慶館のドーム天井の内部、
展示ケースや館長室と、通常見られない部分の探索もある。

収蔵品としては「家形埴輪」だけがピックアップされているが、
これについても建築家・藤森照信氏の視点からの「読み」が楽しめる。

科学系の国立科学博物館については、特にその展示の視点から、
自然科学30のなぜ?どうして?―国立科学博物館の展示から」(レビューはこちら)が刊行されており、こちらも非常に興味深い一冊だが、
本書はまた違った視点の「博物館」本である。

これまで国立科学博物館へ行った方、これから行く方、
いずれにしても一読しておいて損はないだろう。

【目次】
美術編(勝手にトーハクセレクション
茶室で茶の湯「感覚」体験)
建築編(本館
表慶館
東洋館)
舞台裏編(展示の舞台裏)





▼須藤元気のユニット・WORLD ORDER。オリジナル性が良い。本アルバムは山口 晃氏カバーデザイン。
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