ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

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切手による郵便システムは、イギリスの英知の結晶だ。「英国郵便史 ペニー・ブラック物語 (切手ビジュアルヒストリー・シリーズ)」  

英国郵便史 ペニー・ブラック物語 (切手ビジュアルヒストリー・シリーズ)
内藤 陽介



1840年に世界で初めて発行された切手、ペニーブラック。
古い推理小説や、簡単なトリック探し本などで、「気づきにくい財宝」として扱われることが多い。
本書は、そのペニーブラックを中心に、イギリスの郵便史-すなわち世界最初の郵便史を概観するものだ。

まず冒頭では、ペニーブラックそのものについて。
ここは切手ファンらしく、
・周囲の余白(マージン)の残り具合による分類(4辺が残ったフルマージンや3辺が残る3マージン)、
・消印のマルタ十字印の模様(手作りなので郵便局ごとにバリエーションがある)、
・消印のインク色(当初は赤インクだったが、洗い落とせることがわかったため黒インクとなった)、
・消印の押方(顔が残るクリアプロフィール)、
・細かな版の違いと、下2角のアルファベットの意味 等々、
知っているとちょっと面白い薀蓄が満載である。

だが、ペニーブラックそのものに関する章は、実は少ない。
本書の面白さは大半を占める、イギリス郵便史にある。

日本にも飛脚があったとはいえ、現在の世界の郵便システムは、
イギリスの郵便システムを範としている。
(そのため、切手発祥国のイギリスだけは、切手に国名を印刷していない。)
今となっては、切手と消印というシステムは当たり前で明瞭簡潔、
これ以外無いと思われるシステムだ。

だがもちろん、このシステムが構築される前に、様々な試行錯誤があった。
何より面白いのは、切手というシステムが発明されたのが、鉄道の実用化よりも後だということ。
蒸気機関等の複雑な機械よりも、切手+消印というシステムの発明の方が苦労したのだと思うと、
何だか人類が面白くなってくる。

Eメールの標準化により、切手を使った郵便は、残念だがどんどん衰退していくだろう。
だが、多くの人の机や本棚には、切手が眠っているはずだ。
実のところ、僕の手元にも父から譲り受けた(奪った)切手コレクションもある。

切手+消印といううシステムが、いかに革命的な発明だったか。
本書でじっくり味わっていただきたい。

【目次】
ペニー・ブラックを解剖する
ペニー・ブラックとその時代
 英国郵便の曙
 イギリス革命の荒波の中で
 馬車が運ぶ/鉄道が運ぶ
 そして“切手”が生まれた
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