ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

19世紀初頭、ドイツの厳格な講義の記録、だが。「象は世界最大の昆虫である―ガレッティ先生失言録」  

象は世界最大の昆虫である―ガレッティ先生失言録
池内 紀



Wikipediaによれば、ヨハン・ゲオルク・アウグスト・ガレッティ(Johann Georg August Galletti)は、1750年生まれ。1828年に没するまで、ドイツの歴史学者・地理学者として多くの著書を書き、講義を行った。

だが、それらは今は、もう残っていない。
ヨーロッパの各時代の優秀な学者と同じく、同時代で最先端であったとしても、それがそのまま歴史に残る偉業となるわけではない。
歴史に名を残せるのは、ほんの一握り-エポックメイキングな成果を創りだした者だけだ。

そしてガレッティ先生は、講義中の「失言」で歴史に名を残したのである。
ただ、まあ最近の「失言」と言うより、「言い間違い」みたいなものである。

例えば本書タイトルの、「象は世界最大の昆虫である」も、深い意味はまったくない。

本書は、その失言ばっかりを網羅したもの。
1992年(うわぁ、20年以上前だ!)にこの本に出会った時には、こんな書物がハードカバーで刊行されるとは、
なんと素晴らしい時代かと思ったものだ。

Wikipediaにも失言は掲載されているので、それと重複しないものをいくつか例示しよう。
19世紀初頭の厳粛な講義を受けているつもりで、脳内再生していただきたい。

まず、歴史である。
「前216年のカナエの戦いに際し、ローマ軍は3万の精鋭をそなえていた。
だが、やがて2万が捕虜となり、4万が戦場にとり残され、12万が逃げうせた。」


「カエサルがルビコン川を渡らなかったら、彼はいったい、どこへ行ったのやら、かいもくわからないのである。」

地理である。
「熱帯地方の土地は砂地である。温帯地方は粘土地である。寒帯地方に土地はない。」

「ドイツでは、毎年、人口1人あたり22人が死ぬ。」

これなどは、今となってはむしろ失言ではないかもしれない。
「アフガニスタン人は山あり谷ありの民族である。」

生物である。
「熊には、ひとっ跳びして寝そべるという習性がある。」

講義を真面目に聴かないと怒られるのである。
「君たちは先生の話となると、右の耳から出ていって左の耳から入るようだな。」

本書はハードカバーだけでなく、文庫化もされている。
だがしかし、重厚な学問的な香りを堪能しながら、ガレッティ先生の言葉を味わうには、
やはりハードカバーをお勧めしたい。

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