ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

いつもの道が、違って見える。「ふしぎな国道 」  

ふしぎな国道 (講談社現代新書)
佐藤 健太郎



江戸時代の街道についての本は楽しく(例えば「地図と写真から見える! 日本の街道 歴史を巡る!レビューはこちら)、古代の律令国家時代に行われた全国的な道路整備事業には謎が満ちている(「古代道路の謎―-奈良時代の巨大国家プロジェクト(祥伝社新書316)レビューはこちら )。

こうした歴史的な街道の上に、現在進行中の街道整備事業。
それが国道、都道府県道、市道だろう。
このうち、各都道府県を連結する国道こそが、その規模・用途からも、僕らが通常抱く「街道」の現在形といえる。

そして、人々の営みにが続く限り、地域性・交通事情は時代と共に移り変わり、
その結果としての国道も変遷し続けていく。

例えば僕は香川県坂出市の生まれだが、子どもの頃は 「国道11号線」というと、
市の北側(海側)を走る二車線道路だった。
ところが市の南部に「11号バイパス」が出来、
いつの間にかそっちが「国道11号線」、旧来の国道11号線は「県道33号線」になった。
その頃は、「国道」は基本幹線として絶対的な存在であると思っていたから、
番号が変わるという事実に驚いたものだ(今でも違和感がある)。

おそらく、人それぞれ、生まれ育った土地の国道感覚というようなものがあり、
「故郷の思い出」の重要な基礎になっているのではないだろうか。

こうした、いわば、生きものとしての街道を見続け、その進化や多様性を楽しむのが、
おそらく筆者のような国道好きである。

本書は、国道マニアの立場から、日本各地に残る国道の多様性(階段であったり、山道であったり!)、
そして国道を楽しむ様々な視点を紹介するもの。

特定の国道を完走するというベーシックな楽しみ方から、
車では走破できない「酷道」を楽しむ者、
国道番号の付け替えによって都道府県道に格下げされた旧国道に、かつての国道の面影を探る者等々。

本書は、極めて日常的な存在である国道の中に、
自分なりの楽しみ方を見いだせるガイドブックと言えるだろう。

僕個人としては、本書末尾あたりに掲載された道路の起終点を示す「道路元標」、
道路にペイントされた文字、
看板(最近の青地に白の「青看」ではなく、白地に青の「白看」)など、
痕跡を探るあたりが、興味あるところ。

一見、たんなるマニアの愉しみ紹介のような本ながら、
日常的なモノに人の歴史と意味があり、それを見つける楽しさを伝える、なかなか楽しい一冊である。


【目次】
第1章 国道の名所を行く
第2章 酷道趣味
第3章 国道の歴史
第4章 国道完走
第5章 レコードホルダーの国道たち
第6章 国道標識に魅せられて
第7章 都道府県道の謎
第8章 旧道を歩く
第9章 深遠なるマニアの世界

▼律令国家において、全国を貫く大規模な道路整備が行われていた。
(レビューはこちら)



▼同著者による、律令国家による道路以外も含めた入門書(レビューはこちら)


▼日本各地の古街道の歴史を辿る。(レビューはこちら)


▼ビジュアルに古街道を見ていく楽しさ。(レビューはこちら)


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