ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

「虫屋さんの百人一種」 一人一人の、未知の世界を知る喜びの物語。  

虫屋さんの百人一種
NPO日本アンリファーブル会



本書は、図鑑ではない。
また、100種の昆虫について、その生態・形態に関する専門的なトピックが記載されているものでもない。
取り上げられている種も、特段珍しい種ではなく、いわば「馴染み」の種である。

様々な人が、身近な-とはいえ、中にはかなり珍しいものもあるが-それぞれの種について、その魅力や思い出を語るもの。
ごく個人的な物語といっていい。

だが、その個人的な物語こそが、
昆虫それぞれに魅力があること、
そして昆虫との出会いが、それぞれの人生において極上の体験に成り得ると言うことを、しっかりと示している。

子供の頃の出会い、大人になってからの再会、一度きりの出会い。

多くの生き物屋は、それぞれが対象としている生物について、同じように個人的経験を持っているだろう。
初めて見た時の感動や、探し求めていた種に出会ったときの喜び。
いわば、「未知の世界が開いていく」感動と言っていい。

そして、昆虫に手を出せば、またその感動が味わえるのだという誘いが、本書に潜んでいる。
昆虫に興味が無い人にこそ、ぜひ読んでいただきたい一冊である。

ただ1点残念なのは、各種ごとに書き手が異なるのだが、その様々な書き手の情報がないことだ。
内容から中高生の方や、わりとご年配の方もいるように見受けられる。
もちろん氏名まで求めるつもりはないが、 同じ「小学生の頃の思い出」を語られていても、書き手によって数年前の場合と、数十年前の場合があるわけだ。それを、一々補正しながら読んでいくのが少々苦労する。

また、失われた自然についての話や、将来の願いが語られれているからこそ、書き手の年代が知りたくなる。
「今の中高生にもこんなに昆虫好きな人がいるのか」とか、「数十年前はこうだったのか」と感じることも、こうした個人的経験をまとめた本の魅力だろう。

日本の昆虫は、もちろん100種で終わるものではない。
また、それぞれの種に対して、いわゆる虫屋さん一人一人の経験や思い出は、当然異なる。
なかなか出版には難渋されたようだが、ぜひ、第2弾を刊行してほしい。
日本は、虫を愛でるという世界的にも割と少ない文化に恵まれた国である。
だからこそ、本書のような本は出版される価値がある。

なお、本書を読むと昆虫採集がしたくなる。
そんな方には、「ぼくらの昆虫採集」(レビューはこちら) をお勧めする。

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category: 昆虫

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