ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

「喰らう読書術 一番おもしろい本の読み方」読むことを恐れてはいけない。  

喰らう読書術 一番おもしろい本の読み方
荒俣 宏



フィクションは、自身の嗜好(時には、自分自身も意識したことがない嗜好)に合うものとの出会いを喜ぶもの。
ノンフィクションは、自身が知らないモノとの出会いを喜ぶもの。

推理小説作家の森博嗣氏がこんな感じのことをもっと上手い表現でどこかに書いてたと思うのだが(「封印サイトは詩的私的手記 I Say Essay Everyday」あたりと思う)、メモし損ねたので、正確なところは分からない。

もちろん、どちらか上というものではない。

僕も若い頃から、文学かエンターティメントかを問わず、フィクションも割と良く読んでいた。
だが、いつの間にか世界は自分が知らないことだらけだと気づいて、ノンフィクションばかり読むようになった。
(正確には、読みたいノンフィクションが増えて、フィクションを読む暇がなくなった、という感じである。)

※以下、「ノンフィクション」という言葉が、(ドキュメンタリー的なものに限定された)やや狭い定義と混同しそうなので、
「非フィクション」と称する。

本ブログでも9割以上は非フィクションを紹介しているが、
読めば読むほど、個々の本やジャンルがネットワーク化されて、世界が立体的に見えてくる(と、感じている)。
また一方で、自分が世界の「何」が知りたいのかが浮かび上がってくる(僕だと、例えば生物地理学と進化史だ)。
少しずつ世界が見えてくる喜び。
フィクションだけを追っていると絶対に味わえない感動である。

この感動が非フィクションを追う原動力になるのだが、荒俣氏はその原動力を、見事に説明している。

たとえ悪魔に魂を売り渡しても、知りたい、教えてもらいたい、この世の秘密を少しでも解きたいという渇きが、私の魂を揺するからです。好奇心が満たされる歓びよりも上の幸せなんて、滅多にありません。


「たとえ悪魔に魂を売り渡しても、」と言い切れるかどうかが荒俣氏と余人との違いなのだろうが、
それでも、僕程度の人間でも非フィクション街道から抜け出すことは容易ではない。

本書は、そんな非フィクションを愛してやまない荒俣氏による読書方法論。
ただ、そんなに具体的なHOWTOが記載されているわけではなく、
・非フィクションを読むことは、ヴァーチャルな経験だよね
・非フィクションを好きになるって、こんな事例があるからだよね
・自力で非フィクションを読み続ければ、自分に合う本を見つける読書感度が増すよね
・とはいえ、慣れないうちは、大系的に読むのも良いよね
・あと、見つけた本から興味の趣くままに展開すると良いよね
的なことが記載されている。

ただ、そこかしこに荒俣氏の実体験や実際の本の紹介があるのが、読みどころだろう。
実際の非フィクション系の読書に役立つ「術」が書かれているかと言えば、たぶん多くの人には、満足できる「術」は無いだろう。そういうのは、「読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]」とかの得意分野である。

本書はそれよりも、非フィクションを読むという「人類の知を探る愉しみ」を実例で紹介する点に、大きな主眼がある。
自分はこんなに本ばっかり読んでいていいんだろうか、と不安になった時に、ぜひお読みいただきたい。
開き直る特効薬となるだろう。

▼「他人がどんな本を読んでいるか」というのは、下世話ながら興味深いところ。(レビューこちら)

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category: 読書

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

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コメント

いつも物語のある写真、楽しませていただいています<(_ _)>。

フィクションも悪くはないのですが、基本的には書かれている世界で完結しますね。
個人的には、自分がいる現実の世界、特に人間以外の世界をもっと知りたいので、
非フィクションかなあと思います。
nitta245様、年のせいなんかではないですよ。
むしろ、まだまだ新しいことを知りたい若さにあふれている(^o^)、のではないでしょうか。

BIRD READER #- | URL
2016/01/31 10:04 | edit

ご無沙汰していました。
非フィクション系と書いてあり,「そうなんだよな」と納得いったので書き込んでしまいました。
私もやっぱりフィクションよりは非フィクションが,この頃なのです。感覚よりは納得なのです。年のせいかしら・・・。フィクションでは飽き足らない何かが非フィクションなんです。アマゾンの奥地を想像して書いているフィクションよりも,何があったか,見つかったかが気になるんです。よりリアルであることとは自分にとっては非フィクションなんです。

nitta245 #- | URL
2016/01/30 18:14 | edit

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