ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

「かつお節と日本人」 生産地の変遷と、日本人の南洋進出。  

かつお節と日本人 (岩波新書)
宮内 泰介,藤林 泰



昆布と日本人」(レビューはこちら)があまりにも良かったので、伝統食材と日本人シリーズとして入手。

かつおぶしといえば、我が家の食卓にもふりかけ等があり、まあ日常的な食材である。
だが、いったい日本人といかなる関わりがあるのか。

結論から言うと、「昆布と日本人 (日経プレミアシリーズ)」は昆布そのものから商品化、流通と、昆布の全てに視野が行きわたっていたが、本書のターゲットは主に「明治時代以後のかつお節生産史」である。

かつお節そのものの特徴や成り立ちなどを期待すると、ちょっと物足りない。

だが一方で、かつお節という食材について、やはり僕は何も知らなかったなと思い知られた。
まず、産地について。カツオというと四国では高知県が有名だが、
現在の産地は鹿児島と静岡。この2県で本書執筆時点で約97%を生産しているという。
これらの地が産地として伸びた経緯には、明治以降のかつお節を国策として拡大してきた殖産事業、
江戸期以前の漁業形態等、様々な理由がある。

また、現在ではインドネシア産かつお節が、特に伸びている。
こうした南洋産かつお節も、明治から昭和初期までの南洋進出の歴史が重なっており、
それだけに、太平洋戦争における南洋でのかつお節生産者への影響は甚大なものだった。
その歴史を踏まえて、インドネシアでかつお節生産が復興し、
しかも地場産業として、明確に「インドネシア産」として輸入されるに至るまでの歴史。

また、「かつお節」と言う、かつてはハレの食材であった「節」という形態から、
削り節としての流通が主流となった現在への推移。

江戸時代から続く、かつお節生産業者から多大な信頼を得ている卸商、「にんべん」。

明治期以降ではあるものの、かつお節という伝統食材を巡る正に激動の歴史が、
この一冊に凝縮されている。

「伝統食でありながら、いまなお消費が増加している珍しい食材」である、かつお節。

日々の「だし」、ふりかけ、トッピング等に活用しているが、
その背後にある歴史を知っておくことも、悪くないと思う。

特に、沖縄県とかつお節、沖縄県と南洋のかつお節の関わりの深さは、初めて知る事実だった。

あと、「にんべん」のかつお節が食べたくなる一冊。

【目次】
第1章 かつお節は日本の伝統か―たどってきた道
第2章 南洋に向かった沖縄漁民―明治から敗戦まで
第3章 大衆化するかつお節―変わる産地と生産方法
第4章 赤道直下の一大産地―インドネシア・ビトゥンの八〇年
終章 つながりあうかつお節ネットワークと私たち
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