ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで  

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
サイモン・シン
【充実度】★★★★




 暗号。昔から魅かれるものがある。単純にオトコのロマンなのかもしれない。
 ただ世界の所学問から考えれば、人間が用いる暗号とは、完全に人間の知識の上にのみ成立するものである。
 言い換えれば、人間が言葉を操り、知識を伝達するからこそ発生した技術である。

 その発達過程については諸本出ていて、他の本を読んだこともあるのだが、直近の「量子暗号」まで言及しているというので本書を手に取った。

 アタリである。

 かなり分厚い本だが、それはシーザー暗号、ヴィジュネル暗号、エニグマ、RSA暗号から量子暗号まで、様々な暗号についてその暗号史と解読史だけでなく、エピソードや理論、具体例まで細かく記載しているからである。またビール暗号のような魅力的なエピソード、ヒエログリフと線文字Bという古代文字の解読も取り上げる。

 エニグマについてはメカニズムと理論を図解とともに細かく説明しており、はじめてこの機械が悪魔の機械とまでいわれる由縁(複雑さ)を実感することができた。

 また、RSA暗号についても分かりやすく解説されており、どのような歴史的要請と探索によって、この暗号が発明されたのか、なぜこの暗号が現在は解読不可能なのか、そしてなぜ量子コンピューターが実用化されれば解読されるのか、という諸疑問について、一定知識を得ることができた。
 
 ハードカバーでは500頁近い大著だが、非常に楽しい本である。
 本書は「暗号作成者」と「暗号解読者」に分けて整理することで、見事な暗号史を綴り上げている。この分野に興味がある方や、スパイ小説が好きな人は必読だろう。


【メモ】
P124「ビール暗号」1885年、アメリカ、トマス.J.ビールが残した財宝の場所を示した暗号文書をまとめた小冊子

P247
第二次世界大戦中、イギリスの暗号解読斑、「デイリー・テレグラフ」にクロスワードパズル掲載、12分以内に解ける者、→25人が回答→6人が後に暗号解読者として採用

P250
「庭仕事(ガーデニング)」、暗号を解読するための手がかりを得るために機雷を敷設する作業

P277
古代エジプト/
ヒエログリフ=3千年以上使用、394年に最後の使用、
デモティック=450年に最後の使用

キリスト教の普及、協会がエジプトの異信仰を断つべく、エジプト文字の使用を禁止
代用=コプト文字、ギリシャ語アルファベット24文字に6つのデモティック文字を追加したもの
コプト文字が圧倒的に普及し、ヒエログリフ、デモティック、ヒエロティックを読めなくなった。
11世紀、コプト語とコプト文字はアラビア語とその文字に代わり、完全に断絶する。


◎暗号鍵の受け渡しが問題
→基本的に暗号は、鍵による双方向関数
→一方向関数による暗号の探索、

P347
ex)一方向関数=モジュラー算術(時計算)

P358
◎暗号化と複合化で同じ鍵を使う=対称鍵
→暗号化と複合化で別の鍵を使う=非対称鍵

Aは公開鍵と個人鍵を持つ。
Bは、Aの公開鍵によって、暗号化した文書xを作る。
Aは、文書xを個人鍵によって複合する。
個人鍵→公開鍵は、一方向関数。よって公開鍵から、個人鍵を探索することはできない。

→この原理による現在の暗号=RSA暗号
(R=ロナルド・リヴェスト、S=アディ・シャミア、A=レナード・アルドマン)

素数 p、素数 q を選ぶ。
p×q=N、 Nが公開鍵となる。
Nが十分な桁数を持っていれば、現在は効率的(現実的)な素因数分解の近道はないため、
Nからpとqを導きくことは困難。
 ※十分な桁数=重要な銀行取引なら、10^308桁。

P372-
イギリスのジェイムズ・エリスらは、RSA暗号の原理を既に導き出していた。
ただしイギリス軍部での成果だったため、公表されていなかった。


P410
RSA暗号の安全性は、鍵のサイズ(桁数)にかかる。
アメリカでは鍵のサイズは制限されていない。
しかし暗号技術は軍事技術として輸出制限がかかるため、アメリカ国外の暗号は短い鍵しか扱えない(でも実用には十分)。
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category: 暗号

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