ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

北極にマンモスを追う 先端科学でよみがえる古代の巨獣  

北極にマンモスを追う 先端科学でよみがえる古代の巨獣 (角川ソフィア文庫)
鈴木 直樹



マンモスは、まだシベリアのどこかにいるのではないか。
そんな夢を、実は抱いている。

実のところ、多くのマンモス(様々な種がある)が絶滅したのは1万1000年前頃だが、
孤島タイプの小型マンモスであるウランゲリ島のコビトマンモスMammuthus exilisが絶滅したのは紀元前1700~1800年頃。
生物種としては、生き残れるポテンシャルはあったようだ。
(しかし主な絶滅原因が伝染病という説もあり、難しいところだが。)

ただし、その目立たないとは言えないサイズ、
地球全体の環境変化、
そして何より、地球の隅々まで進出した人間の活動から考えれば、
生きているならとっくに見つかっているだろう。
だから、夢なのである。

さて、筆者はそのマンモスを、生物として研究している。
すなわち一般的な化石による骨情報だけでなく、永久凍土から稀に発掘される凍結したマンモスを用いた研究だ。

凍結したマンモスと言えば、近年では、
愛知万博において展示されていたことが記憶に新しい。

実は、あのプロジェクトは、著者によるものであり、
本書は、マンモス研究者として単身ソ連(当時)に乗り込んでから、
愛知万博でユカギルマンモスを展示するまでの、
研究人生の総括である。

さらに文庫では、「あとがき」「あとがきのそれから」で、以降の状況についても言及されている。

凍結したマンモスを発掘することが大変だろうことは、漠然と分かる。
だが、そのための物資輸送、発掘したマンモスの輸送、
CTスキャンのためのカプセルづくり。
そして、万博という体制に組み込まれた事による弊害(発掘事業の一方的な縮減、コンテナサイズの勝手な変更等)など、
多くの難問が舞い起こる。

それらを時系列で辿り、研究(及び研究体制づくり)を確立していく姿は、まるで冒険小説のようだ。
愛知万博のユカギルマンモスは見に行かなかったのだが、それを猛烈に後悔させる一冊である。

なかなか興味深い分野だけに、著者による別の本も期待したい。

【目次】
第1章 いにしえの巨獣、マンモスの謎
第2章 北の大地での出会い
第3章 冷凍マンモス発掘プロジェクト
第4章 「ユカギルマンモス」に会いに行く
第5章 マンモスを日本に輸送する
第6章 マンモスの体内へ
終章 タイムトラベルの夢は続く
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