ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

ナチスの財宝  

ナチスの財宝 (講談社現代新書)
篠田 航一



「琥珀の間」。
1701年に即位したプロイセン王フリードリヒ1世が構想・着手。
その子のフリードリヒ・ヴィルヘルム1世の時、ロシアのピョートル大帝に贈られた。
その後が1770年、エカテリーナ2世の時代に完成した。

ところが第二次世界大戦中の1941年、ナチスドイツはエカテリーナ宮殿の様々な美術品と共に、
「琥珀の間」も解体して略奪。
ケーニヒスベルク城に一時保管されていたが、後にイギリス空軍の空爆のため、
全て焼失してしまった。

だが、その「琥珀の間」が、空爆前に解体・搬出され、今もどこかに眠っているという伝説がある。

本書冒頭は、その「琥珀の間」を巡る旅だ。
この財宝伝説が荒唐無稽なものではなく、当時の時代情勢やナチスの動向を踏まえると、
実際に隠された可能性が伺えてくる。
そして、「琥珀の間」を巡って暗躍する幾多の国家。

また、有名なロンメル将軍がアフリカに進軍した際、同地にいたナチスが略奪した財宝。
これも大戦末期、ある島の沖に沈められたという。

さらに、同様にナチスが何かを沈めたという「トプリッツ湖」。
ここでは実際にイギリス紙幣の偽札などが入った多数の木箱が発見されている。
当時、木箱を運ばされた地元の人の言葉からは、もっと重いもの-金塊もあった可能性がある。

大戦末期に指揮系統が破綻したナチスドイツでは、略奪した財宝をベルリンに運ぶことはできなかった。
だが、それを残して連合軍に渡すこともできない。
「ならば、隠せ。」
そう判断した将校がいても、不思議ではない。

そのようにして隠匿された財宝の一部が、当時ナチスが海外逃亡した資金源になっていた節もある。

「財宝伝説」というと荒唐無稽な感じだが、
本書は毎日新聞社のベルリン特派員(当時)が、新聞取材と同様に足で探し、
当時の資料や関係者へのインタビューなどを通して、
「ナチスの財宝」と呼ばれるものの信憑性を探っていくもの。
基本的に中立的・落ち着いたスタンスであり、安心して読むことができる。

また、4章のうち1章はナチス残党の逃亡に割かれており、財宝伝説の枠を超えた話題も提供されている。

実際、ナチスが隠した財宝はあるだろう。
だが、それらは失われてしまっている。
金塊、宝石、美術品もあるだろう。
だが何より、それらを奪うために失われた人命と平和は計り知れない。
人間の物欲の深さを実感させられる。

【目次】
第一章 「琥珀の間」を追え
第二章 消えた「コッホ・コレクション」
第三章 ナチス残党と「闇の組織」
第四章 ロンメル将軍の秘宝
第五章 ヒトラー、美術館建設の野望
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category: 戦争

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

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コメント

ご訪問ありがとうございます!
先の大戦中は、かなり美術品や財宝の争奪・秘匿が多かったようですね。
本書、かなり生々しい話が多く、さらに深く突っ込んだ話が読みたくなります。

BIRD READER #- | URL
2015/09/22 16:01 | edit

戦争での財宝のぶんどり合戦と隠し財宝,この辺りっておもしろいですよね。いつかはゆっくりと読みたいと思っているんですが・・・。

nitta245 #- | URL
2015/09/22 09:57 | edit

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