ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

運慶―リアルを超えた天才仏師  

運慶―リアルを超えた天才仏師
山本 勉,ヤノベ ケンジ,橋本 麻里,みうら じゅん



奈良・東大寺の仁王像の運慶・快慶。
社会科でも習うし、極めてメジャーな存在である。
それだけに、特に意識もしていなかった。

だが、なぜ「運慶」が特に優れた仏師として名が残ったのか。
円空や木喰といった独特の仏師はともかくとして、
日本の仏教彫刻において、なぜ運慶・快慶の他は名前すら記憶に残らないのか。

改めて考えると、不思議な話である。
本書は、現時点で運慶作と認められている諸仏をカラー写真で紹介しつつ運慶の生涯を辿り、
その過程で「なぜ運慶が特筆される存在なのか」を明らかにしていくもの。

端的に言えば、仏教彫刻としてスタンダードであった常朝の作風
(破綻がなく、均整がとれた、現在も仏具店でよく見る仏像の作風だ)、
これを突破したのが運慶である。
だが、運慶が格段に優れていたため、運慶以後は新たな展開の可能性がなく、再び常朝の作風に戻らざるを得なかった、というところだろうか。

そして、その天才・運慶と同時代にいきざるを得なかった、秀才・快慶。

本書によって、仏教美術史の単語でしかなかった運慶について、
その凄み、人生を感じることができるだろう。

仏師としてサインした日本最古の例が運慶であるとか、
俊乗上人座像(重源像)のようにリアリズムかつ抽象的で「静かな」像の存在など、
仁王像のような迫力満点のイメージしかない運慶について、手軽に新たな発見が得られる一冊である。

【目次】
第1章 始まりは弱小工房
第2章 運慶、東国へ
第3章 運慶と快慶の違い
第4章 慶派のさらなる飛躍
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