ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

ドキュメント御嶽山大噴火  

ドキュメント御嶽山大噴火
--生還した登山者たちの証言を中心に救助現場からの報告と研究者による分析を交え緊急出版!-- 【地図付】 (ヤマケイ新書)
山と溪谷社



2014年9月27日午前11時52分、御嶽山噴火。ニュースで見た映像は、「火山列島」という言葉を突きつけるものだった。
現地の混乱、行方不明者の困難な捜索など、記憶に新しい(というか、まだまだ現在進行形と言えるだろう)。

ニュース直後、気象庁の事前の警戒情報が不十分だったとか、
火山に登る方が悪いとか、
シェルターを造れとか、様々な意見が飛び交った。

しかし、こと「噴火」という自然現象に対して、人間が出来得る対抗策は少ない。
まして、市街地における地震対策などと異なり、
火山の火口近くでの噴火対策など、現実的には困難だろう。

その困難さを伝える貴重な証言集が、本書である。

巻頭には、現場での写真を収録。また様々な縮尺の地図も収録し、証言の中の足跡を辿っていける。
収録された証言は、7本。多くの方が、今回のような大規模噴火の中にあっては、生死は運不運に過ぎないと語っている。

では、我々にはどうしようもないのか。

僕は、もちろん最初は「運次第」だけど、
「運良く」最初の危機を乗り越えた時に、その運を持続させるか否かは、
個人の意思と技術が影響する、と思いたい。

それを学ぶのが、本書である。
特に後半は、科学的な側面からの噴火の検証、そして救出にあたった方々の証言である。
噴火という大規模災害に遭遇した時、人は、どう動けるものか(実際は、動けないものか)。
本書により、少しでも頭の片隅に留め、運を手繰り寄せる判断を行いたい。

写真、地図も多く、「噴火」という非日常的な(しかし日本では常に有り得る)自然災害を、
具体的にイメージするのにも有用だろう。
特に地図は、具体的に現場の状況を把握するうえで極めて役立つ。
1年を経過した今だからこそ、改めて読み直したい。

なお、本書は「ヤマケイ新書 山岳遭難の教訓 --実例に学ぶ生還の条件--」(レビューはこちら)や、
「トムラウシ」というケーススタディを元に、ツアー登山の在り方や、ツアー参加者側の問題を分析した「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)」(レビューはこちら)に並ぶヤマケイ新書。
特定分野において、こうしたしっかりとした本、またはタイムリーな本が出版されるのは、有り難い。

【目次】
第1章 ドキュメント御嶽山の十日間
第2章 七つの証言
 最初は積乱雲かなと思いました
 生きて帰ることを強烈に考えていました
 少しでも噴火から遠ざかろうと思いました
 気づいたら、噴煙が上がっていました
 二回目の爆発は耐えがたいほどでした
 私たちは噴火の音を聞いていないんです
 ああいう漆黒の闇を経験したのは初めてです
第3章 科学的考察―信州大学研究室からの知見
 御嶽山と水蒸気爆発
 防災学から御嶽山を考える
 噴火時の気象と降灰、そして降雪
第4章 救助現場からの報告
 緊急を要した行方不明者の捜索
 御嶽山の一番長い日
 困難を極めた捜索活動
 災害派遣医療チームの苦悩
 登山者を守った山小屋の役割
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category: 災害

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