ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

インフルエンザ21世紀  

インフルエンザ21世紀
瀬名 秀明



新型インフルエンザ、SARS、エボラ。ニパウイルス、西ナイル熱、MARS。
21世紀は、感染症-それも人畜共通感染症とか新興感染症とか言われるタイプの時代である。

中でもインフルエンザは、スペイン風邪の記憶、そしてインフルエンザウイルスに対する理解が深まることによって、
おそらくパンデミックが避けられない-そして場合によっては、スペイン風邪のように猛威を振るう-感染症であることが確実となった。
そして2009年から2010年にかけ、いわゆる新型インフルエンザ(A型、H1N1亜型)が発生する。

2009年新型インフルエンザの発生に際しては、日本でも検疫や最初期の兵庫での発生での混乱(というか情報錯綜)があった。だが、やがて想定していた程の高病原性ではないことが判明し、日本ではかなり流行したものの、
2009年新型インフルエンザも、通常のインフルエンザと同レベルの記憶になっていると思う。

だが、それが良いことだったのか。

本書は、2009年新型インフルエンザの発生に際し、2009年12月刊行という極めて早い時期に、
WHO、医師、行政、インフルエンザウイルス研究者、公衆衛生学者、看護師など、
様々な「現場」の実態や課題をインタビューし、網羅した一冊である。

僕としては目につく感染症関係の本は読んできたが、WHOの進藤奈邦子氏、押谷仁、センダイウイルスなど、
本書の守備範囲は正しく広く、適切と感じた。

実際のところ、もう「新型インフルエンザ」という言葉は、多くの人にとっては2009年新型インフルエンザだろう。

だが、インフルエンザウイルスの構造上、今後も新たな「新型インフルエンザ」は発生しうる。

そして、インフルエンザだけでなく、SARSやエボラなど、世界中の感染症がパンデミック・アウトブレイクする可能性はある。(ちなみに、パンデミックとアウトブレイクは全く別の意味である。)

日本は今後、どのような感染症対策ができるのか。
新型インフルエンザの経験を通し、いったい何を学んだのか。
そして何より、個人個人は、どう考えるべきなのか。

「自分は重症化しないから、罹ってもいいや」と思ってしまうと、感染の鎖が続いていく可能性がある。その鎖が続いていった先には、必ず重症化する人が出てくる。みんなの努力で社会を守るという発想が大事なのです。


押谷氏は、講演でこう訴えている。

2011年の東日本大震災以降、どうしても危機管理というと、地震・津波などの自然災害対策にウエイトがあるように感じる。
だが、感染症も終わったわけではない。
「新型インフルエンザ」は過去のものと思っている方にこそ、ぜひ読んでいただきたい。

【目次】
第1章 二一世紀のパンデミック
第2章 糖鎖ウイルス学の挑戦
第3章 ディジーズ・コントロール
第4章 時間と空間と呪縛を超える
第5章 想像力と勇気

▼SARSについては、こちらをお勧めする(レビューはこちら)。


▼WHOの新藤氏によるもの。レビューはこちら

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category: 感染症

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