ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

ぞわぞわした生きものたち 古生代の巨大節足動物 (サイエンス・アイ新書)  

ぞわぞわした生きものたち 古生代の巨大節足動物 (サイエンス・アイ新書)
金子 隆一



ぞわぞわなんて言われると、わくわくするではないか。

本書は古生代の節足動物、すなわち三葉虫、ウミサソリ、陸上鋏角類、多足類、六脚類について、
著者が把握している分岐学の見解、そして代表的・特徴的な種を、化石写真や図で紹介するもの。

副題に「巨大節足動物」とあるが、これはいわゆる売り文句である。
素直に読めば、これまでの節足動物の進化研究をめぐる入門書であり、
特に重要な分類群である三葉虫以下の前出の生物について、さらにその進化を整理したもの。
その過程で、史上最も大きかった種は何か、を紹介している。

節足動物というと、つい昆虫のみと考えてしまうが、
その進化史については、まだまだ不明な点が多い。
そもそも、長い歴史を視野に入れると、そもそも「節足動物」とは何ぞや、という定義から問題となる。
さらに、いかなる生物から「節足動物」が生まれたのか。
そして進化上、どのような順番で分岐し、さらにそれぞれの分類群では、どのような形質が基本となり、進化上のリファインが進んだのか。

例えば巻頭では、ユーラシア大陸では馴染みのない有爪類が紹介されていて(僕は存在をしらなかった)、
節足動物全体を理解するだけでも、読み応えがある。

ちなみに有爪動物、日本で言うカギムシって、こんな奴だ(かわいい)。



「ぞわぞわした生きものたち」という、タイトルは奇を衒ったものだが、
内容はキワモノに走らず、文献ベースの良心的なもの。
本書巻末には結構細かい参考文献も掲載されている。
また、すごく単純なイラストの場合もあるけれど、これも元の(ぺっちゃんこの)化石を忠実に描いたものらしい。

コンパクトな本だけに、突出した最新見解は少ないようだが、
逆に刊行時点でのスタンダードな理解を紹介していると言えるだろう。

何しろ、三葉虫はもとより、ウミサソリや陸上鋏角類(クモやサソリ)、多足類(ムカデなど)といった、
なかなか詳しい資料の少ない生物について、それぞれの進化史を紹介しているのがありがたい。
進化史に興味がある人、
三葉虫に興味がある人、
脚がたくさんある生きものなんて怖いくせに、恐る恐る見てしまうタイプの人にお勧めしたい。


それにしても、三葉虫は今から2億年以上前に絶滅した三葉虫だが、5億2千万年前に出現し、以降3億年続くほど、大成功した生物である。
本書でも紹介されていたが、三葉虫には深海性のものもいたらしい。
どこかの深海の熱水噴出孔近くに生きてないかと、実はこっそり楽しみにしているのである。

【目次】
第1章 節足動物
第2章 三葉虫
第3章 ウミサソリ
第4章 陸上鋏角類
第5章 多足類
第6章 六脚類

お馴染み我が家の三葉虫。
Flexicalymene ouzregui(フレキシカリメネ ウーズレグイ)
Flexicalymene ouzregui フレキシカリメネ

三葉虫については、「三葉虫の謎―「進化の目撃者」の驚くべき生態」(レビューはこちら)が、やや饒舌ながら詳しい。
僕所有の他の化石も、こちらで紹介している。

三葉虫を含む化石については、
本ブログで紹介した本のリストのうち、「恐竜」を、
節足動物については同じく「節足動物」のカテゴリもご参考にされたい。
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category: 節足動物

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