ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

歴史を塗り替えた 日本列島発掘史  

歴史を塗り替えた 日本列島発掘史
大塚 初重



考古学の世界は、日進月歩だ。
その時々を彩る、驚くべき考古学上の発見。
どの考古学的ニュースに胸を躍らせたか、それは世代によって大きく異なるだろう。

例えば僕なら、荒神谷遺跡の大量の銅剣発掘が非常に印象的だ。

ある人のそれは、例えば岩宿遺跡であり、登呂遺跡であり、高松塚であり、ホケノ山古墳だろう。

本書は、そうした日本の古代研究における極めて重要な発掘事例について、
登呂遺跡を始め、多くの古墳発掘に立会い、日本考古学協会も務めた著者が、
客観的に、そして時には発掘当事者の視点をもって紹介する一冊。

岩宿遺跡発見時の興奮、荒神谷遺跡の大量の銅剣発掘、
大量の三角縁神獣鏡発見など、多くの方の印象に残っているだろうニュースについて、
それが考古学上どのような意味を持つのかを整理している。

また、旧石器ねつ造事件、高松塚壁画の劣化事件という、
日本の考古学研究史上の忌むべき二大事件についても、
なぜそれが起こったのか、それが防げなかったのかということを自問する。

特に著者には、「「考古学」最新講義シリーズ 装飾古墳の世界をさぐる」(レビューはこちら)で詳しく述べられているとおり、
未盗掘の装飾古墳である「虎塚古墳」について、内部の空気分析をはじめ、壁画を劣化させないための研究・対策を行った実績がある。その経験から述べられる高松塚古墳の壁画保存問題に対する意見は、日本の考古学界(研究者のみならず行政も)において、今後生かしていく必要があるだろう。



【目次】
第1章 列島の黎明期「旧石器~弥生時代」
 日本列島初の石器時代の遺跡発見―岩宿遺跡への挑戦
 急速に進んだ旧石器時代研究の歩み―岩宿に続く武井遺跡
 誰も足を踏み入れたことのない米軍基地へ―夏島貝塚の発見
 戦後の日本人を力づけた弥生のムラ―よみがえる登呂遺跡
 輪郭を持ちはじめた神話の国・出雲―荒神谷・加茂岩倉遺跡の青銅器
第2章 権力の誕生「古墳時代」
 大量の鏡片と巨大銅鏡はなにを語るのか―平原墳丘墓の鏡
 沸騰する邪馬台国問題の鍵を握る巨大古墳の真実―ホケノ山古墳の年代
 次々に出土する鏡はどこで造られたのか―椿井大塚山古墳の三角縁神獣鏡
 百年に一度の大発見といわれた銘文―稲荷山古墳の鉄剣
 若き被葬者の金銅冠と、押し寄せる開発の波―三昧塚古墳の危機
 巨大な前方後円墳・方墳が示す東国の古墳時代―龍角寺古墳群と大和政権
 石室の扉の向こうに見えた赤い円文―虎塚古墳の壁画

コラム
考古学をめぐる重大事件
1 旧石器ねつ造事件と発掘の歪み
2 高松塚古墳の壁画劣化事件と古墳の保存
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category: 歴史

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