ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

日本の国宝、最初はこんな色だった (光文社新書)   

日本の国宝、最初はこんな色だった (光文社新書)
小林泰三



分かっているようでわかっていないのが、歴史を経たモノである。
その形、色は、時の経過と共に劣化している。
現在は保存技術が進んでいるため、一部を除けば、僕らの生きている間に甚だしい劣化はない。

このため、つい教科書等に掲載されている姿をもって、製作当時の姿と勘違いし、
そこに「侘び」とか「寂び」を感じたり、論じてしまう。

だが、もちろん最初から色褪せていた筈はない。

そこで本書の著者は、一部が失われたり、彩色が褪色した絵画を、デジタル上で復元する。
同じ作者による同様のモチーフからの複写、色の変更など、デジタルならではの利点がある。

収録された復元事例は4件。
復元された製作当初の色や配置を見ると、全く現在とは異なっていることに驚かされる。

ただ、せっかくの成果なのだから、もっと大きな判で見たかった。

また、復元の過程で強調される、「参加する視点」というのは新しい視点である。
いわゆる日本の古美術は、どうしても現存している色・形の印象が強い。
しかし、当時の状況は全く異なる。

本書では、障壁画を立体的な壁面に復元したり、
屏風を描かれた人物の大きさを元に配置したりして、当時の目的に沿った鑑賞が可能となる。

洛中洛外図屏風の2双を対面させて配置し、その一端に座れば、
屏風の東西が矛盾なく成立し、しかもそれが「天下人の視点」であるなど、驚きである。

教科書で見慣れた作品について、様々な歴史と意図があることを示す、楽しい一冊としてお勧めする。

【目次】
デジタル復元の基本
第1章 大仏殿は最新モード―東大寺大仏殿
第2章 鮮やかな闇―地獄草紙
第3章 無常観にズーム・イン―平治物語絵巻
第4章 飛び出す襖絵―桧図屏風
第5章 醍醐の花見にお邪魔します―花下遊楽図屏風

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