ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

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ドキュメント 謎の海底サメ王国 (光文社新書)   

ドキュメント 謎の海底サメ王国 (光文社新書)
NHKスペシャル深海プロジェクト取材班+坂元 志歩



地球環境において、日本は特異的だなと思うときがある。
海に囲まれた島国であること。
そして、直近に深海が広がっていることだ。

さて、ダイオウイカについては、2013年に放映されたNHKスペシャル「世界初撮影! 深海の超巨大イカ」(NHKスペシャルのホームページはこちら)で、一気に火が付いた。

だがそれと同時期、深海のサメについても世界で稀有な撮影が行われ、
その成果がNHKスペシャル「謎の海底サメ王国」(NHKスペシャルのホームページはこちら)として放映されたことは、あまり知られていないのではないか。

少なくとも、僕は見逃していた。
番組表で見にしても、「たかがサメだから」と甘く思っていたのかもしれないが、
それが大失敗であったことを、本書で知った。

本書はNHKスペシャル「謎の海底サメ王国」の企画立ち上げから、放映後まで、その舞台裏を綴ったドキュメントである。

大蛇のようなシルエットのラブカ。映画エイリアンのようにアゴが飛び出すミツクリザメ。巨大な口のメガマウスザメ。
深海に棲むゆえに、生態もよく分かっていないこれらの生きた姿、捕食シーンを撮影する、不可能とも思えるプロジェクト。
それを決意させ、可能にしたのは、いくつかの条件が、奇跡のように絡み合ったためだ。

世界でも有数の、沿岸から急激に深海へと深く落ち込む相模湾。
漁を通じて、研究者以上に深海ザメの生態・生息状況を熟知していた地元漁師の存在。
その漁師に、「NHKスペシャル 幻のサメを探せ ~秘境 東京海底谷~」(NHKスペシャルのホームページはこちら)を企画した高野氏が、出会ったこと。

さらにこのタイミングで、クジラの冷凍遺体を深海に沈め、それを継続観察するというプロジェクトが具体化し、
そして、ダイオウイカの撮影でも力を発揮した、広視界の潜水艇が導入される。
(実のところ、広視界の潜水艇を用いたのはこの深海ザメプロジェクトが先で、この時に多くのトラブルをクリアしたおかげで、ダイオウイカの撮影がスムーズに進んだようだ。)

この成果である映像を見逃すとは、もったいないことをしたものだ。
DVDやNHKオンデマンドで配信しているので、いずれ見たい。

さて、本書でも出てきた、「クジラの冷凍遺体を深海に沈め、それを継続観察するというプロジェクト」。この番組でもキーの一つとなるプロジェクトだが、この成果については、「深海 鯨が誘うもうひとつの世界」(レビューはこちら)で美しい映像により紹介されている。本書は、「深海 鯨が誘うもうひとつの世界」をより楽しむためにも有用である。

【目次】
口絵
プロローグ
第一章 海底王国への冒険のはじまり――東京海底谷と「悪魔のミツクリザメ」
第二章 深海プロジェクト始動――メガマウスを狙え!
第三章 撮影機材の改良、漁師の凄さ
第四章 深海ザメとは何か
第五章 深海プロジェクトの凍結
第六章 世界初のクジラ大実験
第七章 クジラが見つからない!
第八章 ラブカの発見
第九章 相模湾で起きていた奇跡
第一〇章 深海の生物移動の謎を解く
第一一章 2013年 奇跡 再び
エピローグ――海底王国 冒険の終わりとはじまり
あとがき 結城仁夫






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