ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

動物奇想天外-江戸の動物百態 (大江戸カルチャーブックス)  

動物奇想天外-江戸の動物百態 (大江戸カルチャーブックス)
内山 淳一



江戸時代の出版文化の多様さについては、「和本の海へ 豊饒の江戸文化 (角川選書)」(レビューはこちら)に詳しいが、江戸期の人々の興味・関心は留まるところをしらない。

本書は、江戸時代に描かれた動物について、多くのカラー写真で紹介している。
また、単なる羅列に終わらず、その動物と江戸時代の人々の関わり、また画家のテクニックや興味などについても教えてくれる。

また、動物画だけでなく、実物写真等もあるのが本書の特色。

例えば虎絵の達人である岸駒(1749-1838)のトラについて紹介するページでは、岸駒が中国の商人からトラの頭骨や四足を手に入れて写生を行ったエピソード(と写生図)を紹介するとともに、岸駒が入手したそのトラの足標本そのものの写真を掲載。
(頭骨は、戦前に男子出産のまじないに貸し出されて以来行方不明とのこと。)

「狆とネコ」では、江戸時代の大圓寺の寺域跡から発掘されたイヌとネコの墓石の写真を掲載。
おそらくこの寺を菩提寺としていた薩摩藩邸で飼われていたものらしい。
イヌは文政13年(1830)没、「御狆白事」とあって、狆で名前は「白」。
ネコは明和3年(1766)没、「賢猫之墓」とある。人と愛玩動物の繋がりの歴史が垣間見える。

さらには、河童、人魚という想像上の動物の動物画も紹介されており、
当然、有名な「河童のミイラ」や「人魚のミイラ」の写真を掲載。

何とも楽しい一冊である。

なお香川からは、「衆鱗図」から鯛が掲載されている。
「衆鱗図」は松平頼恭(1711-71)が編纂させ、平賀源内が関わったという説もあるもの。
非常に細かく描かれ、鱗に金銀箔を使って質感を表現し、描いた図を正確に切り取って台紙に張り付けているなど、完成度が極めて高い。

他にも「衆禽画譜」「写生画帖」「衆芳画譜」などがあり、香川県立ミュージアムに収蔵されている。
僕はこれらの図譜の展示を見たり、衆禽画譜についてはその復刻本(2014時点では品切れ)を持っているのだが、
何度見ても素晴らしい逸品である。
上手く展示期間に巡り合えれば、ぜひご覧いただきたい。
(香川県立ミュージアムのホームページはこちら)

【目次】
動物大集合-涅槃図と十二支・群獣図
動物画のいろいろ-写実とその意味
江戸のペット事情-昔も今も人気は犬と猫
ふしぎな動物たち-珍獣から人魚まで
動物をきわめる-これがホンモノだ!
象が来た、龍が出た、人魚を見た!
江戸の不思議発見物語

コラム
涅槃図の動物たち
若冲のマス目描き
十二支図のゆくえ
江戸動物づくし
白井直賢とネズミ
動物のいる生活
岸駒とトラ
ウサギのなぐさめ
龍とヘビ
狙仙のサル・若冲のニワトリ
円山応挙の写生
奇想の動物画
擬人化された動物たち
鷹狩の風景
鷹狩の忘れ物
珍鳥を愛でる人々
イヌのいる風景
イヌを飼う殿様たち
狆とネコ
金魚と金魚玉
ゾウのおどろき
ラクダの夫婦
龍骨の発見
河童と人魚
見世物になった動物たち
西洋動物図鑑の衝撃
蘭学者と動物
らんぺき
リアルさの追求
北斎とナマコ
レンズの中の世界

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