ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー (ブルーバックス)  

プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー (ブルーバックス)
福岡 伸一



ウイルスや病原菌などとは全く異なるメカニズムである、タンパク質から成る感染性因子、プリオン。

その「プリオン」という名称を創り、概念を確立したスタンリー・B・プルシナーはノーベル生理学・医学賞を受賞した。

ただ、プルシナーという人の上昇志向というか成功志向は、「眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎」(レビューはこちら)でも窺える。

そして「プリオン」が決定的な証拠に欠ける(と考えうる)こと、
プルシナーの手法に(良くも悪くも)かなりの強引さがあったことから、
実は「プリオン」という概念は誤りであり、やはりウイルスなのではないかと考える人もいる。

本書は、その「反プリオン説」に立ち、プリオン説に対する反論を指摘していくもの。

一読すると、「なるほど、プリオン説は間違いかも!」と感じるものである。

ただ、そもそも本書の反論も、結局のところ(本書刊行時点では)理論上に留まっている。
冷静に見ると、「プリオン説には確たる証拠もない」と言いながら、
「反プリオン説にも確たる証拠はない」という感じられる。

いったいどちらが正しいのか、興味深いところである。

ただ少なくとも、本書を読んで感想を綴っている程度の人間が判断するレベルの話ではないことは、確かだ。

本書刊行(2005年)以降、特にプリオン説が否定されるような報道はない。
福岡氏の研究はどうなのか。プリオン説についてどこまで理解され、何が不明なのか。
世界のプリオン研究者は、今何を研究しているのか。

あれほど騒がれた狂牛病も、今や畜産業界だけが関係する話かのように、
報道されることは殆どない(自分の感覚では「全く」無い)。

だが「プリオン」は、過去の話ではない。
これから解決していくべき事項のはずだ。

さて、本書はM氏のご紹介で手に取ったもの。
その際のご指摘にもあったのだが、
最新の知見に関する一般書を刊行することが、研究者と出版界の重要な仕事ではないかと思う。
特にあれだけ騒がれ、現在も通常生活に密着した問題なのだ。
「終わった問題」ではない。

【目次】
第1章 プルシナーのノーベル賞受賞と狂牛病
第2章 プリオン病とは何か
第3章 プリオン説の誕生
第4章 プリオン説を強力に支持する証拠
第5章 プリオン説はほんとうか―その弱点
第6章 データの再検討でわかった意外な事実
第7章 ウイルスの存在を示唆するデータ
第8章 アンチ・プリオン説―レセプター仮説
第9章 特異的ウイルス核酸を追って
関連記事
 このエントリーをはてなブックマークに追加

category: 医学

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://birdbookreading.blog.fc2.com/tb.php/472-979c0630
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

中の人

アクセス

RSSリンクの表示

最新記事

カレンダー

アクセスランキング

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム