ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

深海 鯨が誘うもうひとつの世界  

深海 鯨が誘うもうひとつの世界
藤原 義弘,中野 ひろみ



深海は、極端に栄養が少ない。「深海砂漠」とも言われるほどだ。

だが、クジラの死骸が海底に沈む時、それは様々な生物が集まるオアシスとなる。

クジラの肉を食うもの。骨を食うもの。
腐って発生する硫化水素を利用するもの。
そして、食い残しや、集まった生物食うもの。

本書は、JAMSTEC(海洋研究開発機構)が、試験的に深海に沈めたクジラの漂着死骸を追跡調査し、
そこに集う生きものを紹介する。

1種につき見開き程度を使用。真っ黒なページに浮かぶ深海生物は、極めて妖しく、美しい。

通常なら絶対に見られないこれらの生物を、これほどのクオリティで堪能できるとは、良い時代である。

最近はやりのオオグソクムシ、スケーリーフットも、もちろん掲載。通称「白スケ」の白いスケーリーフットも収録されている。

各種について、生物学的な解説が付されており、興味深い生態もわかるが、
何よりやはり写真だ。

じっくり堪能する一冊。深海の本ながら山と渓谷社刊行というのが粋である。

【目次】
光から闇への贈り物 鯨骨生物群集

【クジラの肉を喰らう】
カグラザメ
イタチザメ
コンゴウアナゴ
ムラサキヌタウナギ
エゾイバラガニ
オオグソクムシ
クジラの遺骸追跡実験

【クジラの骨を喰らう】
ホネクイハナムシ

【くさったクジラの骨にくらす】
ヒラノマクラ
ホソヒラノマクラ
進化的ステッピング・ストーン仮説
アブラキヌタレガイ
サツマハオリムシ
ズータムニウム

【鯨骨に集う生きものたち】
コトクラゲ
ベニシボリの仲間
オオウヨウラク
オオナミカザリダマ
ウロコムシの仲間
サメハダホシムシの仲間
ミョウガガイ
ウミクワガタ
ムンナ
ゲイコツナメクジウオ
鯨骨育ち

熱水噴出孔、湧水生物群集
シンカイヒバリガイ
シロウリガイの仲間
スケーリーフット
アルビンガイ
ヨモツヘグイニナ
イトエラゴカイの仲間
ユノハナガニ
ゴエモンコシオリエビ
カイレイツノナシオハラエビ

沈木生物群集
メオトキクイガイの仲間
カタビラフナクイムシ
ニホンコツブムシ
深海のキノコ

深海住人ファイル
カイメンの仲間
イソギンチャクの仲間
クラゲとクシクラゲの仲間
タコの仲間
ダンゴイカの仲間
ウミウシの仲間
ウニの仲間
ナマコの仲間
ウミユリの仲間
テヅルモヅルの仲間
クモヒトデの仲間
ヤムシの仲間
ウミグモの仲間
キタホソヨコエビの仲間
ヤドカリの仲間
ニシキジンケンエビ
ベニハゼ
キホウボウ
発光

コラム
深海の赤/透きとおって闇に溶ける/サイズを測る/水槽で深海生物を飼う/あっ、目が合った/
深海のゴミ/深海生物研究の日々
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category: 動物

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

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コメント

Re: タイトルなし

 コメントありがとうございます。
 深海ブームといって良いほど様々な本が出版されていますが、通常なら絶対に見られない世界について知ることがてぎて、嬉しい限りです。
 しかし一方で、おっしゃる通り深海の環境悪化に関する情報発信は少ないように感じます(現在報じられている以上に攪乱されているとは思います)。
 生物学にとってはワクワクするフロンティアですが、人工的な関与が困難な世界だからこそ、保全の観点が特に必要になるでしょうね。
 過去のアメリカ等によるクジラ漁の歴史的な責任、そして深海に近接した日本の地理的責任、いずれも未来の世代に向けて、真剣に調査し、対応していく必要があると思います。

BIRD READER #- | URL
2015/01/11 17:21 | edit

 小学生の時「大深海10000メートルへ」を読んで以来、深海には惹かれるものがあります。熱水噴出孔に集まる生物群集も、単なる発見(四半世紀以上前)から系統分類ができつつあるなか、白スケ・黒スケの謎が発生したり、或いはこのスポットこそが生命の起源ではないかと言う説が出てきたり、目の離せないフロンティアになったものだと思います。
 しかし、しんかい6500による探査の中でプラスチックごみ(時にはマネキンの頭まで!)が深海底で見られたり、結構深刻だとのことです(「深海のパイロット」光文社新書)。個人的には、米英が絶滅の危機を起こすほど狩っては捨てたクジラの死骸が深海底を富栄養化させたことが、取り返せない問題を引き起こしていないか、という事が気がかりです。或いはおバカにも二酸化炭素を深海底に捨てるとか、ろくでもない発想が一方にあることを思うと、人類は歴史から何を学んでいるのかと思えてきますね。

M氏 #- | URL
2015/01/07 20:34 | edit

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