ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

人類進化700万年の物語 私たちだけがなぜ生き残れたのか  

人類進化700万年の物語 私たちだけがなぜ生き残れたのか
チップ・ウォルター



進化の歴史には興味があるが、現生人類、すなわちホモ・サピエンスに至るまでの人類進化史は、他の動植物とは異なる面白さがある。

単純化すると、まず、なぜここまで知能面に特化して進化したのか(できたのか)ということ。
もう一つは、他の初期人類との関係である。

恐竜や三葉虫に比較すれば、ごく最近の出来事でありながら、
初期人類の化石が極めて少ないことから、まだまだ不明な点が多い。

その上で、現時点の最新知見を盛り込み、人類の進化史を形態のみならず、社会性や知能の発達という面でも整理したものが本書である。
いくつか、興味深く読んだ点を記録しておく。

まず形態的なポイントとしては、例えばネオテニー。

人類がネオテニーであるということは良く言われているが、
脚の親指が、まっすぐ前を向いていることもネオテニーだという。
人間と違い、妊娠初期のゴリラ、チンパンジー、ボノボの胎児は、足の親指が人類と同じように前向きであり、発生が進むにつれて、他の四本と離れて手の親指のようになるらしい。
親指がまっすぐなまま生まれるネオテニーは、森林では不利である。
しかしサバンナでは、この親指によって直立した二足歩行が可能となり、逆に有利になったのだ。


次に、他の初期人類との関係。

頑丈型(アウストラロピテクス)と華奢型(ホモ・エルガステル)の初期人類が数十万年間は共存し、
最終的に華奢型が生き延びたという視点も、興味深い。
頑丈型と華奢型には、食性の違い、耐寒性など様々な差があるが、
少なくとも数十万年間は共存していたということは、
我々に繋がる華奢型が一方的に優勢だったわけではない、という事実を示している。

さらに、現生人類にもネアンデルタール人やデニソワ人などの遺伝子が混入しているということも踏まえて考えれば、初期人類から我々ホモ・サピエンスまでの道のりが、単純な道のりではなかったことを示している。

p144には、我らがホモ・フロレシエンシスも紹介されており、
ホモ・フロレシエンシス〈上〉―1万2000年前に消えた人類 (NHKブックス)」(レビューはこちら)を読んでいると、より深く理解できるだろう。

また、初期人類の化石発掘史としては、「ネアンデルタール人 奇跡の再発見 (朝日選書)」(レビューはこちら)が面白いので、興味がある方にはお勧めしたい。

最後に、本書のp227には、
「好奇心に関するある説によると、我々は生まれながらの「情報食動物」であり、食物のように、新しい知識や経験を求める」ということが紹介されている。

なるほどと思う一方、情報が溢れかえっている日本では、逆にヒトの「情報食動物」としての感度は、かなり差が激しくなってるように感じる。
それは、ヒト社会の発展と維持に対して、おそらくネガティブな影響を与えているのではないかと思う。
その是非を論じる気はないが、
少なくとも自分自身は、死ぬまで「情報食動物」でありたいと願う。


【目次】
第1章 存続を賭けた戦い
第2章 幼少期という発明(または、なぜ出産で痛い思いをするのか)
第3章 学習機械
第4章 絡み合った網―道徳的な類人猿
第5章 そこかしこにいる類人猿
第6章 いとこたち
第7章 野獣の中の美女たち
第8章 頭の中の声
終章 次の人類







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