ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

海藻―日本で見られる388種の生態写真+おしば標本   

海藻―日本で見られる388種の生態写真+おしば標本 (ネイチャーウォッチングガイドブック)
野田 三千代,阿部 秀樹



90年代後半に貝殻を集めていたが、その時嫌でも目につくのが海藻であった。
砂浜には、様々な色や形の海藻が流れ着いている。
種名は、アマモくらいしか分からない。

目の前に未知の生物がいるのに、何も知らないのが悔しかったが、
磯臭い海藻を持って帰って識別するのもつらい。

そう躊躇していた頃、「海藻押し葉」という手法を知った。

海藻を持ち帰り、真水で塩抜きし、形を整えて押し葉にする。
ここの手間さえかければ、種名を調べることもできるのではないか、とチャレンジした。

その結果は、次のようなものだ。

海藻2

海藻3

海藻4

これらは全て、作成から20年近く経過したもの。
10年目くらいまで台紙こどサランラップでくるんで保存していた。
その後ラミネートしたが、何とか色は保持できているようだ。

こうして「海藻押し葉」を作ったものの、手元の図鑑(「標準原色図鑑全集 15 海藻・海浜植物」)の印刷色が悪くて、
結局識別する気力でず、挫折した。

本書は、そんな挫折者にも、再チャレンジしようかと思わせる一冊。

一般的な375種類、それらの近似種13種類を加えた計388種類を押し葉標本で図示し、簡潔明瞭な識別解説を付す。さすがに最新刊だけあって写真のクオリティが高く、波打ち際での絵合わせも苦にならないと思われる。

ちなみに、僕が押し葉にした海藻は、おそらく全てホソユカリPlocamium cartilagineumのようだ。
本書のおかげで20年近くの宿題が解決である。


また、時折挟まれているコラムも良い。

例えば、外来種問題。

イワヅタの仲間のイチイヅタは、本来は熱帯、亜熱帯に分布、枝の長さが25cm程度。
ところがヨーロッパで確認されている変異型は水温10度に耐え、枝の長さも最大60cm。
強い有毒物質を含むため天敵も無く、繁殖力も強く大きな群落を形成。
これが繁茂すると他の海藻や魚がいなくなるため、キラー海藻と呼ばれている。
まだ日本には未侵入らしいが、警戒しておくべきだろう。

かと思えば、日本のワカメが近年オーストラリアのタスマニア島、ニュージーランドに移入種として侵入しているという。


また、以前アメフラシの卵嚢(通称ウミゾウメン)を食うとTVで紹介されていて驚いた覚えがあるが、
実は「ウミゾウメン」という食用の海藻があり、それと混同されて報道されているらしいこと。

さらに、アマノリ類の多糖類ポルフィランや寒天の多糖類アガロースの分解酵素は、
海洋細菌以外では日本人及び日系人の腸内細菌のみにあるという事実。
海藻食民族の面目躍如である。

これから冬に向け、砂浜を清掃されることも少なくなり、
ビーチコーミングには良い時期となる。

海の事故には気をつけつつ、興味のある方は海藻にも目を向けていただきたい。

【目次】
海藻とは?
命を育む藻場
海藻と日本人の関わり
海藻図鑑
 緑藻
 褐藻
 紅藻
 海草
海藻おしばを楽しもう!


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