ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

一瓦一説 瓦からみる日本古代史  

一瓦一説 瓦からみる日本古代史
森 郁夫



市町の歴史資料館に行くと、瓦の展示をよく見る。

個人的な感覚だが、特に奈良・平安あたりの歴史資料に多い感じる。

考えてみれば、
古墳時代だと、そもそも古墳が発掘調査のメインだし、いわゆる竪穴式住居には瓦が無い。
高床式倉庫も茅葺だ。

一方、鎌倉期以降になると、武具や文献資料も多く、そちらの展示が多い。

そうすると、古墳が消滅し、でも文献の多くはまだ木簡という律令時代、
その住居跡・寺院跡となると、「瓦」という焼成された物体が、最も残りやすい歴史資料のような気がする。

実際、香川県では近年、讃岐国府跡探索事業(香川県埋蔵文化財センターのホームページはこちら)というのが進行しているが、ここでも瓦が出土しているようだ。

だが、実際に瓦を見ても、何が面白いのかさっぱり分からない。
忸怩たる思いを抱いていたところ、出会ったのが本書。

本書では、推古朝から聖武朝(とあと少し)について、図版と2ページ程度の解説を加えるもの。

冒頭に瓦を読み解くための専門用語の解説、見方の基礎知識の説明がある。
ここで、瓦を理解するための出発点としての用語を理解できる。

例えば、次のような用語だ。

・瓦の種類   軒丸瓦(のきまるがわら)と軒平瓦(のきひらがわら)

・瓦の文様がある面   瓦当(がとう)

・瓦に文様をつけるための型  瓦当笵(がとうはん)

これを知らないと、そもそも展示の解説を「読む」ことすらできないだろう。

続け本書では、年代順に各瓦の文様が解説される。
これによって、瓦の文様の発展がわかり、瓦の展示に添えられている呪文のような言葉、
例えば「八弁複弁蓮華文」とかの言葉の意味が見えてくる。

ここまで来ると、
文様や瓦当笵を通じた各寺の建立年代の確定や、官、他寺との関係など、
「瓦と歴史」がリアルなものとして認識できるようになる。

もちろん、この一書で瓦を理解することは不可能である。
添えられた図版も少なく、中には拓本もあり、(僕には)解説された文様を見出すことすら難しいものもある。

しかし、瓦を通して歴史を見るテクニックが理解できるという点で、本書は類のない価値を持っている。

歴史の展示を見に行く程度には、歴史に興味があるのに、
展示された「瓦」の面白さがさっぱり分からずに悔しい思いした方に、特にお勧めしたい。

少なくとも、僕のように
「讃岐国府跡探索事業ではどんな瓦が出て、どんなことが分かったのかな」
という程度には、瓦に興味が湧くと思う。

入り口としては、十分であろう。


【目次】
序章 出土瓦から読み取れること
第1章 推古朝の瓦
第2章 舒明・孝徳朝の瓦
第3章 天武・持統朝の瓦
第4章 聖武朝の瓦
補遺
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