ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

RARE : Portraits of America's Endangered Species (National Geographic)  

RARE : Portraits of America's Endangered Species (National Geographic)
ナショナル ジオグラフィックの絶滅危惧種写真集

ジョエル・サートレイ



「ナショナル ジオグラフィックの絶滅危惧種写真集」という身も蓋もないタイトル。
同じズバリなタイトルであれば、原題の方が良い。
そして、もし和訳のタイトルにするならば、本書の主旨を尊重して、
「絶滅危惧種の肖像」としたい。

本書は、アメリカにおける絶滅危惧種を丹念に撮影したもの。
基本的に見開き1種。片面もしくは両面に写真を配し、コメントはごく僅か。

その真価は、「Portraits」と題するとおり、写真にある。


目次の見開きに配された写真を除き(これはコメントも定型から外れているため、挿絵的位置づけだろう)、
全ての写真が、背景が黒または白で統一され、背景のノイズは除外されている。

しかも、動植物の全体を撮影したものは少なく、多くは顔等の一部をクローズアップしたもの。

いわば、個々の種を代表する個体を被写体として、
その種が生きた証ともいえるような「肖像写真」を著者は撮影したと感じる。

実際に、こうして「今絶滅の危機にある動植物の姿」のみを提示されると、
改めて全ての生き物が美しく思えるとともに、今にも消えそうな儚さを感じる。

確かに、生息地を背景とした写真も大事だし、減少原因や生態を詳しく記載している方が、資料価値は高い。
しかし、資料価値の高さが、そのまま人を動かす原動力になるかといえば、そうではない。
本書に図鑑的な役割は期待できないが、絶滅危惧種を救うために、写真の持つ力を最大限に発揮したものと言える。

また、ページを開くと、美しい写真の横に、無味乾燥に大きく示された数字が目につく。
「195」、「<1,000」、「≦330」。
それは、推定される(もしくは確定した)個体数だ。

この広い世界で、ある種の総個体数が、10,000を切る。
それだけでも恐ろしいのに、本書では1,000を切っているものも少なくない。
その事実に、愕然とする。


本書には、ハイイロハマヒメドリの写真が掲載されている。
真っ白い背景に、味気ないラベルが添付されたガラス容器の中で、保存液に使って横たわっている1羽。
その個体数は、0。
本書に収録された種が、この姿にならないとも限らない。

生物多様性なんて、という人もいるが、
知識・技術を比べ物にならないほど発達させた人類が、生物多様性すら保持できないなんて、情けない話だ。

【目次】
・はじめに/ジョエル・サートレイ
・最後の1羽/バーリン・クリンケンボルグ
・現存個体数 1万より多い種
・現存個体数1万から1,000の種
・現存個体数1,000未満の種
・現存個体数不明の種
・現存個体数が増加中の種
・始めよう、あなたにもできること
・掲載種リスト・撮影について

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