ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

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自然ウォッチングのコツ―アウトドアを楽しむ  

自然ウォッチングのコツ―アウトドアを楽しむ
山口 喜盛



野鳥観察会で、いつも野鳥に出会えるとは限らない。

案内人は、そんな時に、どれだけ興味を持続してもらえるか、が腕の見せ所だと思う。

目の前に野鳥がいない時こそ、じっくり保護や密猟対策の話もできるし、
構造色や換羽の話、鳥類の呼吸システム、脚の構造、紫外線が見える話など、
できるだけ幅広い話をしたいと思う。
(実際は、おっさんギャグを飛ばしているだけの時も多いが。)

そういう知識面もさることながら、使えるのが野鳥の痕跡。
巣の跡から繁殖期の行動を推測し、糞の跡から水浴び場や休息場を探る。
また、落ちている1枚の羽根から、種を識別し、その行動を語ることも出来る。

(ちなみに野鳥の羽根を拾ったら、シャンプーで洗い、軽く水を切って新聞紙上で乾かす。
 乾いたら、手で整えれば元の形に戻る。
 それを最終年月日と共にチャック付き袋に入れておく。
 こうすると、虫・ダニが発生しないし、何年経っても羽根が朽ちない。少なくとも僕のでは20年経っても美しいままだ。)

でも、もし野鳥の痕跡すら無かったら?

その時は、より様々な生物に目を向けたい。

本書は、そうした幅広く学びたい、という方へのガイドブックだ。
細かい種の識別があるわけではない(それは専門の図鑑を見ればよい)。
本書では、環境、季節をふまえて、チェックできる生き物、その痕跡を、写真と共に紹介している。
植物・昆虫・動物・磯の生き物等々、取り上げているテーマは幅広いので、
どんな地域に住んでいる方でも参考になると思う。

また、野鳥なら羽根やペリット、動物の足跡、食痕、むしろ図鑑では記載されていない事項もあり、
まだ生き物そのものしか見えていない方には、参考になるだろう。

【目次】
第1章 野外に出かける前に
第2章 家の周りで観察する
第3章 里山で観察する
第4章 水辺で観察する
第5章 山や森で観察する
第6章 デジタルカメラを使って観察する
第7章 野外における危険を知る
第8章 全国のおすすめ自然観察地と案内施設

最後に、野鳥の痕跡をチェックするのに有用な図鑑を紹介しておこう。
ちなみに、僕は全て持っている。こういう本を持っていれば、野鳥を見る目の幅は確実に広がると思う。

さて、言うまでもなく、使用中の巣には手を出したり、近寄ったりしないでほしい。
小鳥類の場合、同じ巣を使うことは少ないので、秋~冬に見つけたら採集も可能。
ただその場合も、枝や木を切らないように。巣は同じものを使わなくても、同じ木を使うことは多いようだ。

野鳥の巣は次第に朽ちるし、地域・環境によって使われる巣材も変わる。
見た目よりも、大きさ、構造、用いる巣材の太さ、造巣位置などに注意して調べる方がいい。


写真で巣の図鑑ができるとは思わなかったので、刊行時は衝撃だった。
著者の小海途氏に一度お会いしたことがあるが、巣を保管する場所だけでも大変らしかった。


小鳥類は年に1回は換羽して羽根が抜け替わる。猛禽類も数年かけて換羽する。
だから羽根は、気をつけていれば良く拾う。
まずはドバトから拾って、サイズ感と部位ごとの形状差を体感すれば良い。
ただ、ドバトの羽根はベタベタした手触り。
これで嫌にならずに、ぜひ他の野鳥の羽根を探してほしい。スズメもツバメも、羽根1枚でも美しい。


原寸大なので、拾ったものと突き合わせるのに便利。
でも大きくて重くて高価なので、購入には度胸が要る。
正直なところ、「この本を買っても良い」と思う人は、この本が無くても羽根のチェックができるレベル。でも、持っていて、時折眺めるのに良い。


最後に、初めて買った痕跡本。1990年代半ばは、まだ洋書しかなかった。
本章は羽根だけでなく、骨とか足跡も収録。日本での有用性はそこそこだが(類似例として見たい)、
美しいイラストで、見ているだけでワクワクする。
上記の本は実用性豊かでいいのだが、こういう詩情性のある本が日本でも出てほしいもの。

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