ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

地雷処理という仕事 カンボジアの村の復興記  

地雷処理という仕事 カンボジアの村の復興記
高山 良二



武装解除(DDR=兵士の武装解除(Disarmament)、動員解除(Demobilization)、社会復帰(Reintegration))関係の本を読んでいたら、次は本書が目についた。

地雷処理。舞台はカンボジアである。

正直、武装解除関係の本はアフリカとアフガニスタンが舞台なので、カンボジアって視野に無かった。
また、ベトナム戦争に絡んで発生した内戦は、1991年に終結。
最近では、猫ひろしがロンドンオリンピックのためにカンボジア国籍取得とかいうニュースが記憶にある程度だった。

しかし、現地ではいまだに、内戦時代の不発弾や地雷が存在する。
カンボジアに埋められた地雷は、400万個から500万個と言われる。

著者高山氏は、自衛隊員としてカンボジアPKOに参加。
その時に、「カンボジアで地雷除去を行う」というライフワークの考えに憑りつかれ、
自衛隊を定年退職後、認定特定非営利活動法人 日本地雷処理を支援する会(JMAS)のスターティングメンバーとなり、現地で活動を開始した。

高山氏が定年後初めて現地入りした2002年には、不発弾処理をしていると子どもたちが不発弾を持って来たり、道端で呼びとめた少女が不発弾を示し、処理をしていると別の子も不発弾を持ってくるという状況。
高山氏らは、次々と不発弾処理に追われる。

しかし、「地雷処理をしよう」と考えていた高山氏は心身ともに衰弱してしまう。
それは、高山氏にとって、地雷処理は「やらなければならないこと」だったためだ。

不発弾は見えるが、地雷は被災者が発生して初めて存在がわかる。
地雷があるかもしれないというだけで、その場所は歩くことすらできなくなる。

しかし、技術が有れば地雷は処理できる。
そして高山氏こそ、その「技術を持つ」人だったのだ。

その後2006年、今度は地雷処理事業の資金を得て、
カンボジア北西部のタイ国境にある「タエサン村」で住民参加型地雷除去事業に着手。

この事業では、地元住民がトレーニングを受けて、地雷探知員になり、
1名が地面ぎりぎりまで雑草等を除去し、1名が金属探知機で探査する。
その作業は幅1.5m、奥行40cmの範囲を1単位として、1単位に1時間以上を要するという。

危険な作業だが、現地の人たちにとっては貴重な現金収入になること、
そして村や社会のために地雷問題の解決のための仕事につけば、誇りにもなるという動機から、
多くの方が参加を求め、高山氏らは99名をトレーニング。
1グループ33名で地雷処理作業にあたっている。

また、地雷処理以外にも井戸掘り、小学校設立などにも着手。
地元の人たちが自立できるようなトレーニング、責任感も養いつつ援助しており、
タエサン村では、他の村がうらやむような良いサイクルでの支援が整いつつある。

しかし、2007年1月19日、対戦車地雷の爆発事故で7名が死亡する事故が発生。

高山氏は、百年は持つ供養塔を作り、百年後、
「百年前には戦争や内戦があり、多くの地雷があった。そのため怪我人が絶えず、
 村は貧しかった。しかし村人たちが地雷除去に取り組み、不幸にして7人が命を落とした。
 タエサン村が発展したのは、彼らのおかげだ」
と言ってもらえるような活動を誓ったという。

最終章には、タエサン村で地雷探知員がきれいにした土地に、大豆が芽を出した写真が掲載されている。

一人の日本人がカンボジアで地雷除去を開始し、
犠牲者を出しながらも、現地の人と共に事業を進め、
そこが畑になり、種が芽を出した。

高山氏は、これを「夢の種」という。
まさに、その通りである。

高山氏は2010年、JMASを退任し、NPO法人国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)を設立。JMASは不発弾、高山氏は地雷に特化したようである。
また、個人のホームページもある(こちら)。

【目次】
カンボジアへ
活動の立上げ
不発弾処理に取り組む
バーンアウト
再びカンボジアへ
タサエン
デマイナー
村の自立を目指した地域復興
村の生活
事故
これまで・これから
未来へ・タサエン村から
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category: 戦争

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