ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

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脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体  

脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体
中野 信子



ドーパミンは、「快楽物質」とも呼ばれる神経伝達物質。
快楽を感じる仕組みは、次のようなものという。

1)人が初めて対称に接した時、「意識する脳」である前頭連合野がそれを好きかどうか判断。
2)好きな物だとA10神経からドーパミンが放出され、脳は快感を覚える。
3)快感を覚えた結果は、海馬に記憶される。

この仕組みは「報酬系」と呼ばれ、これによって人は興奮し、意欲的になる。
適切なドーパミンの働きにより、人はすぐに報酬が得られないようなものに対しても頑張ることができるが、一方でドーパミンを大量に分泌すると、次のような症状も発生する。
・興奮状態になり、時には攻撃的になる。
・アルコールやタバコの依存症や過食など、ある種の行動がやめられなくなる。
・幻覚を見たり、妄想を抱いたりする

本書はこのドーパミンの働きについて、丁寧に解説したもの-と言いたいが、ややテーマがずれている。

実のところ、本書ではドーパミンと「報酬系」という仕組みが「依存症」を発生するという点をスタートに、
むしろ、「依存症」の仕組みについて詳しく紹介されている。

だから、むしろ「依存症 快楽物質ドーパミンによる人間支配」というタイトルの方がよいのではないかと感じた。

依存症については、詳しい。
依存症は、大きく3つの依存対象に分けられるという。

・物質依存(ニコチン、アルコール、薬物、食べ物へなどへの依存)、
・プロセスへの依存(ギャンブル・インターネット・買い物・仕事など)
・人間関係への依存(恋愛・カルト宗教・DV・虐待など)

病気と認識されるものもあれば、アルコール依存症のように、まだ「意思の問題」と誤解されているものもある(この点については、「実録! あるこーる白書」に詳しい。レビューはこちら)。

しかし、これらの依存症には、「これらの依存対象に接しているとき、人の脳の中にはドーパミンが分泌されている」という共通点があり、その仕組みを詳しく紹介する。

例えばアルコールは報酬系に直接関与し、ドーパミン分泌を抑制するブレーキであるGABA神経の活動を弱らせる(→ドーパミンの分泌が促進される)、とか、
タバコは喫煙開始後15秒程度で報酬系を活性化させるが、その作用は長持ちしないため、吸って吐くの間に快感の発生→喪失が繰り返されている、など、依存症のメカニズムについて詳しく、なかなか面白い。
(と思えるのは、僕が酒もタバコもやらないからだろうが)。

さらに第4章では、特に他者からの承認・評価・信用など、他人から評価されること(社会的報酬)もとりあげる。ただこの章に至ると、もはやあまりドーパミンは関係なくなる。

「社会的報酬」の仕組み等は面白く、「ヒト」という動物の進化にかなり関与しているらしいし、また文化面への影響も興味深い。しかしドーパミンの本の一部となっていることで、やや中途半端な印象を受ける。
社会的報酬は、これを中心に、より生物学寄りの本として別にするほうが良かったのではないだろうか。

目新しい知識が掲載されていて興味深い本ではあるものの、ちょっと消化しにくい一冊であった。

【目次】
第1章 快感の脳内回路
第2章 脳内麻薬と薬物依存
第3章 そのほかの依存症―過食、セックス、恋愛、ゲーム、ギャンブル
第4章 社会的報酬
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category: 医学

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