ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

道が語る日本古代史  

道が語る日本古代史
近江俊秀



プリティラヴ博士氏(Dr.プリティラヴ-愛妻に恋する博士の日常-)氏の街道紹介に触発されて、「道」というモノが気になりだしている。
「街道」については「日本の街道ハンドブック―「旅ゆけば心たのしき」街道小事典 」(レビューはこちら)を読んだが、併せて見つけたのが本書。

街道というより、そもそも「道」ってどう形成されたのか、ということについて。
そういえば、これまで考古学の本をいくつか読んできたが、やはり古墳をテーマにしたものが多い。
僕の興味の方向性もあるが、考古学と言えば古墳を思い浮かべるくらい、メジャーなテーマなのだろう。
そういうことを考えれば、古代の道に興味が湧いただけでも、ちょっと新しい視点が得られたと満足である。

さて、本書は大きく3部に分かれる。
1つ目は、古代(5世紀頃)の葛城氏の道。
2つ目は、推古朝に造られた直線道路。
3つ目は、律令国家が全国に造った駅路である。

どれも興味深いが、古代史との関わりからすれば、
1の葛城氏の道が面白い。古代の有力部族の栄枯盛衰が、どのようなルートに道を作ったかに反映されているというもの。
現在からすれば、全ての道は存在しているが、かつては特定のルートしかなかった。
それを管理する、もしくは廃絶して新しいルートを設けることが、
権力に直結していた時代があるというもの。

葛城氏については、「謎の古代豪族 葛城氏(祥伝社新書326)」(レビューはこちら)に詳しく、これを踏まえて本章を読むと更に楽しめる。



また、律令国家において整備された駅制(駅路、駅家(うまや))も興味深い。
縁あって広島県福山市周辺へ行くことが多いのだが、かの地に
「駅家」という地名がある(旧駅家町)。
駅と家? 不思議な地名だなと思っていたが、本書によって「駅家(うまや)」があったためじゃないか、と気が付いた。
調べてみると、やはり奈良時代に町内を山陽道が通っていて、宿駅が設けられていたことに由来するらしい。
「駅家」という地名の来歴が分かれば、今後の往来が楽しみになるもの。

「道」という、なじみ深くて当たり前の存在から、歴史を視るという新しい楽しみを教えてくれたプリティラヴ博士氏に感謝である。


【メモ】
p72
・天皇が有力豪族の盟主に過ぎなかった五世紀は、各豪族が朝鮮半島から鉄生産などの技術導入に熱中していた。より多くの鉄と技術者を手に入れることが、勢力拡大に繋がった。
・葛城氏は当時の外交窓口の一つである紀水門を確保し、海外の技術等を直接入手することに成功した。
・紀水門-紀ノ川-葛城に至るうち、紀ノ川の五條市街地から北上し、葛城山と巨勢山古墳群の間を抜け、葛城氏の地へ至る道は、葛城氏の勢力を支える道路だった。
(ここからは、軽に至る道(葛城斜向道路)を経由して都に至る。)

一方、雄略天皇が葛城氏を滅ぼして後、幹線道路は葛城斜向道路から巨勢山古墳群の南を経由する巨勢道に交替し、葛城の地を経由しなくなった。

p181
・律令国家において、当時の中心地である畿内を除く全国を、山陽道、山陰道、西海道、東海道、北陸道、南海道の七つに区分した。「道」とは道路ではなく、現在の北海道の「道」と同じ行政単位。
・都からこれらの行政単位を通過する七つの駅路が設けられた。駅制という緊急通信制度により、駅使(公の使者)が通ると規定された道路。幅は最小6m、最大30mで、直線にこだわった。
・沿線には約16kmごとに駅家(うまや)と呼ばれる交通管理施設が設けられた。「延喜式」では、駅家の名前が列挙されている。
 なお「延喜式」の駅路は平安京遷都後のもののため、奈良時代とは若干異なる。


【目次】
第1章 葛城の道
 古墳時代にも頑丈な道路を造る技術があった
 造ったのは誰か
 付け替えられた国道
第2章 大和・河内の直線古道
 六世紀の道路
 いつ造られたのか
 なぜ造られたのか
 聖徳太子と蘇我馬子
第3章 七道駅路
 古代のハイウェイ
 律令国家と駅路
 古代国家と道路
関連記事
 このエントリーをはてなブックマークに追加

category: 歴史

thread: 読んだ本の紹介 - janre: 本・雑誌

tb: 1   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://birdbookreading.blog.fc2.com/tb.php/381-21204438
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

ケノーベルからリンクのご案内(2014/05/15 08:59)

福山市エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。

ケノーベル エージェント | 2014/05/15 08:59

中の人

アクセス

RSSリンクの表示

最新記事

カレンダー

アクセスランキング

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム