ちょっとヨクナレ ~読書と日記~

自然科学、歴史、ノンフィクション等の読書記録

そばかすの少年  

そばかすの少年
ジーン ストラトン・ポーター


 自分の本名も知らない、片手を失った孤児の少年「そばかす」。
働き口にを探しに辿り着いたグランドラピッズ木材会社で、彼は原生林の「リンバロストの森」の番人として雇われる。
 木材会社の支配人マクリーン氏、そばかすの下宿先のダンカンとサラたちは、
そばかすの誠実さに惹かれ、彼を優しく見守っていく。
 一方、木材泥棒のブラック・ジャックは、リンバロストの森の木を伐採し、密売しようとたくらんでいる。
 そばかすはリンバロストの森を守ることを使命として、忠実に職務をこなしていくが、
その中で様々な生き物の素晴らしさを知る。
 そして、野鳥写真家バードレディと、一緒についてきていた少女エンジェルとの出会い、
孤独な少年だったそばかすは、いつしか尊敬する人、愛する人のために生きるようになっていく。


本書はリンバロストの森を舞台とした、そばかすの冒険と成長、そしてひたむきな愛の物語だ。
僕はこの本を全く知らなかったが、妻は「あの有名な『そばかすの少年』?」と気が付いた。
ジュブナイルとしては、広く知られている名作とのこと。

読後、確かにその評価が正しいと感じた。

この本に描かれた話は、現代からすればおとぎ話のようだ。しかしそのおとぎ話は、
現代に生きる僕らが忘れつつある、しかし決して忘れてはいけない生き方を教えてくれる。

僕は一日2章ずつ読んだが、それくらいのペースがより楽しめるのではないだろうか。
リンバロストの森を想像しながら、じっくり読みたい一冊だ。
なお、この版の解説では結末が紹介されているので、最初から読むことをお勧めする。

ところで結末もさることながら、この本で特に僕が感動したシーンがある。

そばかすは、美しいオオミズアオという蛾(そばかすは名前を知らない)の羽化に出会った時、思わず嘆く。

「これが何なのか、僕は知らない! ああ、知りたいなあ! 知りたくてたまらないよ!
 何か素晴らしいものに違いない!」


またそばかすが別種だと思っていた青い鳥と茶色の鳥が、
じつは同種の雄雌であることに気づき、その名前などを詳しく知りたいと心から思う。

なるほど、これで決まりだ。青い鳥と茶色い鳥はつがいなのだ。
 またしてもそばかすは、「ああ、知りたいなあ」
とつぶやいていた。


そしてカエルの「ミツ・ケロ! ミツ・ケロ!」という鳴き声に促され、
そばかすは生まれて初めて自分のために本-図鑑を買い、自分で名前を調べることを決意する。

「僕はなんてばかだったんだろう! それだよ、僕がやるべきなのは! 教えてくれる人がいなくても、
自分でできるさ! なんのために人間に生まれてきたんだよ?」
「僕は、鳥と樹木と花と蝶のすべてがわかる本を買うぞ! それから…ああ、そうだ、カエルの本も一冊手に入れよう。それですっからかんになってもいいさ」


そしてそばかすは念願の図鑑を手に入れる。初めて図鑑をめくる時には、指が震えてしまうのだ。

この、世界に様々な「知らない」生き物がいるという驚き。
名前を知りたいという欲求。
そして「図鑑」は、それを教えてくれるんだという期待と喜びは、
多くのフィールドワーカー、ナチュラリストが、最初に抱いたことがあると思う。

僕は今野鳥がメインだが、家にはトンボ、クモ、蝶、コケ、貝、樹木と様々な図鑑がある。
どれもこれも、「ああ、知りたいなあ!」と思って、買い集めたものだ。
これらの図鑑が手に入った時のワクワク感は忘れられない。

そして、今でも初めて出会った生き物の名前が分かったときには、
「わかった!!」という感動が溢れてくる。

こうした感動を見事に描いているのは、やはり作者のポーターの実体験があるからだろう。
フィールド描写、生き物との出会いと感動。
本書は、類まれなナチュラリストの物語でもあるのだ。
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category: 冒険小説

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2014/05/01 09:57 | edit

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